約 6,257,373 件
https://w.atwiki.jp/iammary/pages/56.html
255 :メリーさんパラダイス 1/2:2008/11/27(木) 00 10 11 ID mOk76gYu 事件の翌日。 「先輩、今朝の新聞見ました?」 仕事中の先輩は無口だ。 いや、仕事以外の場面でも無口ではあるのだが。 仕事の時は仕事に関係のない話題には一切答えてくれない。 真面目なのではなくて不器用なのだ、と分析している。 先輩は残業をするので帰りながら話すという手も使えない。 そもそも家の方向が一緒なのかすら知らない。 消去法的にこの昼の時間が先輩と話をできる唯一のチャンスとなる。 カツ丼の大盛りを食べながら先輩にそう尋ねる。 「見てないよ」 先輩に新聞を読む習慣がないのは知っていた。 ただあれだけの事があったのだから、という淡い期待があったのは否めない。 何はともあれあの事件について、先輩に説明する必要があるだろう。 説明しなければ意見を聞くことすらできない。 メリーさん。 それは間違いなく今の日本で最も注目度の高い名前だろう。 メリーさん。 それは日本の人口の約1%、130万人近くの人を殺害した、 歴史上最大クラスの虐殺者の名前となっている。 256 :メリーさんパラダイス 2/2:2008/11/27(木) 00 12 57 ID mOk76gYu 具体的になにが起きたかは専門家によって調査されているところだが、 今朝の新聞を読む限りではこんな感じらしい。 昨日の昼。テレビに割り込んで映し出される映像。 青い背景。小柄な少女。 その少女が繰り返し自分の名前をメリーであると宣言する。 そして自分が怪談のメリーさんである事を説明する。 彼女はそこで言う。 「私メリーさん。あなたの後ろにいるの」 たったそれだけ。 それだけでその番組を見ていた130万人近くの人が死んだ。 信じがたい話ではある。 しかし実際に起きてしまった事に対して、 信じる信じないという話をするのはナンセンスだ、と思う。 それに伴い再びこの様な事が起きないように、 政府からテレビ禁止令が出ている。 よって現在この社員食堂のテレビも電源が切られている。 といった状況説明を先輩に行う。 「で、先輩はどう思います?」 新聞、インターネット等のメディアでは既に色々な説が出ている。 北の細菌兵器だの、米の音波兵器だの、中国の毒入り食物だの。 しかしどれもしっくりこない。 明らかに現実的な理由ではない。 死因についてもはっきりとした情報がない。 唯一はっきりしているのは130万人近くの人が死んだ、という事実だけ。 救いは子供への被害が少なかったことだ。 平日の昼どきテレビを見ている層に子供は多くない。 「考えておくよ」 先輩はそう言うと食べ終えた皿を持って返却口へ向かっていく。 こっちは説明するのに必死で半分も食べ終えてない。 流石にこれだけの差があると引き留めておくのも悪い気がする。 考えておく、と言ったからには興味はあるのだろう。 興味がなければ無視されるか、どうでもいい言葉を返される。 先輩は変な人ではあるが嘘はつかない。 考えておく、と言ったからには考えてくるだろう。 明日の昼のことを考え、高鳴る胸の鼓動を感じつつ、 目の前にある冷めたカツ丼を片づける作業に戻るのだった。
https://w.atwiki.jp/melly/pages/8.html
メリーの居る生活 一日目 2スレ目の 592-605までのSS(修正版) 作:◆Rei..HLfH. ID QzFH+bxJ 昨日、聞かない声の女の子から電話がかかってきた。 『はいもしもし』 『私メリーさん。今あなたの家に向かってるの。明日の夜にはそちらに行くわ』 『え?はい?えっとどちら様で?』 『だから、私はメリーさん。とにかく明日夜には着くからね』(プツ…ピーピーピー 『いや、だからっ…て、…切れちゃった』 もうすぐ日が暮れる。 メリーさんなんて、小学校以来耳にしていなかったが… 直接本人から電話が来るとは思いもよらなかった。 …メリーさんってやっぱり、あの【メリーさん】なのかな… ちょっと調べてみよう…(カチャカチャカチャカチ 都市伝説の一つか…段々近づいてきて… メリーさんが後ろに着たら………背後から殺される!?どうしよう、死にたくない!! えぇっと、どうすればいい…。 119番110番?ダメだ、アテにされない。 解決法は!?(カチャカチャカチャ… ダメだ!!載ってない…当たり前だ、都市伝説で解決策なんか… 「………ップ、アハハハハハ!!」 …何やってるんだ僕は。都市伝説なら殺されるはず無いじゃないか。 所詮誰かのイタズラだ、多分クラスの奴の仕業だろう。 <トゥルルルルルルルル…> 電話だ。(ガチャ 「はい、もしもし」 「よう、友よ」 「あぁ、お前か。どうしたこんな夜分に」 「ちょっと気になってな。一昨日、お前山崎に何されたんだ?」 「え?あぁ、別に大した事されてねぇよ?」 「あんまり酷いようだったら先生に言った方がいいぜ」 「でもいいやつなんだぜ?お前も知ってるだろ?」 「知るか、あんなやt…………ブー」 「?どうした?俊二?もしもーし!!」 「(ブツンッ!!)……私メリーさん」 「う…うわぁ!!」 僕は受話器を投げた 震える手で床に転がった受話器を拾う 「も…もしもし…?」 「私メリーさん。今あなたの住んでる町に着いたわ」 「き…君は…誰なんだ?」 「私はメリーさん」 「ど…どうせ頼まれて僕を脅してるだ…だけだろ!!」 「?何言っているの?まあ良いわ、今あなたの通ってる学校の前を過ぎたわ」 「ぼ…僕をどうするつもりなんだ!?」 「解ってるんでしょ?あなたを殺しに行くの」 血の気が引いて行くのが解った。 ただの狂言かもしれない、ドッキリかもしれない。そう思いたかった。 だが彼女の口からは迷いの一欠けらもなかった。 間違いなく殺しに来る… 「あなたの家の前に着いたら、また連絡するわ」 今の僕にはそんな言葉すら耳に入らなかった。 「おーい!!隆一聞こえるかー!!」 親友の声に僕は我を取り戻した。 「あ!!もしもし?俊二!?」 「おぉ、やっと繋がったか」 「いっ今メリーさんが電話で今学校の前を通って俺を殺しに、で、また電話するって!!」 「?大丈夫か?なんか錯乱してるみたいだが」 いくら親友でもメリーさんなんて信じてくれるはずが無い。 だがそんな事考えてる余裕も無い。 とにかく自分が殺されるかもしれない、と言う事だけでも伝えたかった。 「なるほど。解った」 「え!?信じてくれるのか?」 「お前の慌てぶりでわかる。とりあえず信じてやる」 「じゃあ…俺はどうすればいい?」 錯乱してては良い案が出るわけも無く、親友の指示に従う事しか出来ない。 「まずは?」 「…ち、時間が足りないな。恐らく今お前の家の近くまで来てるだろう」 「え!?」 「とにかく扉・窓全部に鍵をかけるんだ!!急げ!!」 「わかった!!」 「次に武器にn……………ブー」 「!?」 1階の鍵を全部閉めた所で、親友の声…僕の頼りの声が途絶え… 彼女から声が聞こえた 「(ブツンッ!!)私メリーさん。今あなたの家の前にいるの。開けてくれない?」 とうとう来てしまった… 「ダッ…ダメだ!!開けたら殺すんだろ!!」 「そうよ?だから早く開けてよ」 何故だ…なんでこんなアッサリと言えるんだ… 「ねぇ…開けてよ…」 玄関の扉越しから彼女の声が聞こえた 絶対にヤバイ 僕にわずかだけ残された理性が、かつて無い恐怖を感じ取った 「う…うわあああああぁぁぁぁぁぁ!!」 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!! 殺される殺される殺される殺される!! 僕の思考回路は一瞬にして弾けた。 僕は一目散に2階の自分の部屋に駆け込んだ!! 扉の鍵を閉め、向いの窓を閉めに走った。 ガシャ!!カーテンを開け、窓の鍵を閉めようとした時 僕の心臓は止まりかけた。 窓に映る僕の後ろ…僕では無い影がある… そこに映る影は、紛れも無く少女の姿だった。 16歳前後だろうか? 髪は縦ロール、色は金 服は…ワンピースだろうか、 端整な顔立ちは逆に相手に恐怖を与える。 彼女は格好に不釣合いな、とてつもなく大きなカマを細い腕で持っていた。否、肩にかけていた。 時間が遅く感じられた。 実際にこの部屋だけ時間が止まっているのかもしれない。 音という音が聞こえない。 聞こえるのは自分の心臓の鼓動。 次の瞬間には聞こえなくなってしまう音だった。 そして彼女は口を開いた――――― 「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」 その声と同時に時が動き始めた!! 僕は殺されるのか…そう覚悟した。 彼女は思いきりカマを振りかぶり、僕目掛けて横薙ぎにした!! 一瞬の出来事だった。 僕は体勢を低くし、横から来る獲物を間一髪でかわした。 直感だった。 《生きれる!!》 なぜそう思ったかは解らない。 だが自分より背丈の高い武器を扱うと動きが大ぶりになる。 マンガかなにかで学んだ事が今僕に生き残る手段を与えた。 避けつづける!! 「なぜジッとしていないの?早く殺されてよ」 「い…いやだ!!」 彼女はカマを持つ手に力を入れた 「……………ハッ!!」 袈裟切りを横に飛びかわす ギリギリ避けれても、恐ろしい物は恐ろしい。 少しでも油断したら、即断首だろう。 徐々に疲れてきた僕を、彼女は容赦無く攻撃する。 だんだん限界に近づいてきた。 フラフラになっていた僕は、とうとう足を捻ってしりもちをついてしまった!! 顔の横をカマが通る。 頬に軽い痛みと生暖かい血が垂れるのが解った。 「ハァッハァッハァッ…!!くそ…」 しりもちついている僕を彼女は静かに見ている。 「もう、遊びはお終い…」 その目は今まで見たことの無いような冷酷な目だった。 手と足…全身の体の震えが止まらない。 さっきまでとは違う恐怖… さっきまで【死】の恐怖でいっぱいだったが、 今は【メリーさん】に恐怖している自分がいる。 僕は死を覚悟していた。 彼女がカマを振りかざした時。すべて終ったと思えた。 だが、 振り上げたカマは僕に下ろされる事はなかった。 …また時間が止まった…否、僕の身体は震えたままだった。 メリーさんの動きだけが止まっている。 …僕には、彼女が何かを考えてるように見えた。 「情けない…」 刹那、彼女の口から何かが聞こえた。 …情けない? 「避けてる時は殺しがいあったけど…はぁ…」 …僕の事をバカにしているようだ… 「あなた!!」 「はッ!!はいぃぃいぃ!!」 「あなたみたいな臆病者を殺したら、私の名誉が傷つくわ!!もっと勇ましく大往生なさい!!」 話が読めない。とりあえず反論してみる。 「む…無茶苦茶言うなよ!!」 「お黙りなさい!!」 反論不可ですか。 「…いいわ、私が鍛えてあげるわ…フフフフフ」 ………何かおかしい まさか… 「コホン!!」 「私メリー。今日からあなたに憑くわ」 「質問」 「却下よ」 ………待て…。メリーが玄関に着た時より、思考が悪くなってる…。 つまり、彼女は僕にとり憑くってことか? 「いい?今日から私があなたを鍛えてあげるわ」 「……………」←却下されるので何も言わない 「いいわね?」 「………………」←(ry 「そうと決まれば、よろしくね隆一」 カマを抱えた彼女…メリーはどこか楽しそうな笑顔でそう言った。 こうして、僕とメリーの共同生活が始まった 拍手っぽいもの(感想やら) ウケル -- ちこ (2007-11-07 17 12 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/melly/pages/20.html
メリーの居る生活 三日目 2スレ目 803 作: ◆Rei..HLfH. ID EUZWfjHI 『メリーの居る生活 二日目』の続編 眩しい…、朝か…。 …今日は休みだし…もう少し寝てよう…ZZZZZzzz…。 …ZZZZzzzz…。 「隆一、起きてよ」 …誰だ…誰でもいいや…。 「はぁ…、お腹空いたわ…。」 その日の隆一は、連日の睡眠不足から久々に開放され、夢の世界で羽根を広げていた。 「んー…」 一方メリーは、朝食を作る人間がまだ起床せず、起こそうと悪戦苦闘を強いられている。 「何で私が起こさなきゃならないのよ…、声かけても起きないなら…」 メリーはカマを取りだし、その刃を隆一の頬に着けた。 「5秒の有余を与えるわ。それまでに起きなければ…どうなっても知らなくてよ?」 「1…2…3…」 「…………うぅ…」 「あら?案外あっさりと起きたわね?」 「…寝覚め最悪…」 「おはよう。私に起こしてもらっただけ、ありがたく思いなさい」 「おはょ…なんで朝から死の宣告を、目覚まし替わりにしなきゃならんのだ…」 「早く着替えてリビングに来なさい。そして朝食を作るのよ」 メリーはそう言うとさっさと1階に下りて行ってしまった。 「へいへい…ふぁ~」 「2度寝したら殺す」 …1階から釘を刺された。 「…ち」 今日はメリーさんが来てから初めての休日。 (と言っても、来たのは一昨日だが) 昨夜、休日の過ごし方を考えている内に、寝てしまったようだ。 とりあえず、昼まで寝ようと思ったが…10時か。 まぁ、良しとするか。 そういえばさっきのメリー、いつもと調子違ったかな…。 「お腹空いたわ」とか「起きてよ」とか言ってた気がする…。 …夢うつつ? そんな事を考えながら1階に下り、キッチンに立つ。 「何食う?」 「何でもいいわ…とにかく早くして。お腹空いたのよ」 「んじゃ、とりあえず、すぐ出来る物作るよ」 「頼んだわよ…」 「はい、トースト+スクランブルエッグ出来あがり」 「ありがと…」 「あ、賞味期限ギリギリのハムもあったな、ついでに片付けちまおう」 「………」 「ん?先食ってていいぞ?」 「食事はそろって食べる物よ」 「分かった、さっさと作り上げる」 二人の食卓には、スクランブルエッグとトースト、ハムの「とろけるチーズ」和えが置かれた。 「いただきます」 「いただきます」 「このスクランブルエッグ辛過ぎ…」 「どれ?……スマン。塩入れすぎだ…」 「バターが無いわよ?」 「ほんとだ、取ってくる」 冷蔵庫にバターを取りに行く途中、カレンダーが目に入った。 今日の日付に赤い丸が付いている。 ………忘れていた。 どうしよう…。 とりあえずバターを持って戻る。 「はいよ、バター」 「ありがと」 「このハム美味しいわ」 「僕の自信作なんだ。ハムをカリッと焼き上げてジューシーに、そして中の「とろけたチーズ」が濃厚な甘味を出す」 適当な事を言ってみる。 「トーストに乗せてもいいわね」 …流された。 「あぁ、結構いけるよ」 「牛乳は無いの?」 「あるけど…コーヒーじゃダメか?」 「苦いから嫌いだわ」 「へいへい…」 少し遅めの朝食は、会話が弾んだ。 「さて…」 洗い物を終えた僕は、テーブルについて、 「困った事になった」 朝のニュースを見ていたメリーさんに言った。 「どうしたの?」 「今日、おじいちゃんとおばあちゃんが温泉旅行から帰ってくる…」 「…それがどうかしたの?」 「メリーさんは僕の了承だけで、住んでるよね?」 勝手に住んでるの方が正しい 「そうね」 「でも、おじいちゃんとおばあちゃんは…」 「………」 「解った?」 「…どうするのよ。私追い出される?」 「最悪、補導だな…」 「……………」 「多分、三時には帰るとか言ってた気がする…」 メリーは完全に沈黙してしまった。 どうやら彼女は彼女なりに考えているらしい。 僕も考えているが、どれも長持ちするとは思えない考えだけだった。 「…最近は物騒で困るな」 「!?」 「うおっ!?」 テレビの前のソファーには俊二が座っていた。 …テレビのニュースは「パンダが生まれた」との内容だったが。 「お前、どこから湧いて出た?」 「玄関の鍵が開いていたのでな、そこから入ってきた」 「最近の委員会は、不法侵入まで許されるのか…」 「いや、これは俺の個人的趣味だ」 もっとタチ悪い。 「一度警察の世話になって来い」 「俺は陸軍でも引っさげて来なきゃ、止められないぜ」 軽い毒舌vs軽口が始まったが、メリーが止めるように一言。 「…あなたは何の用で来たの?」 俊二が向き直る。 「いやぁ、二人が困ってたみたいだから、この天才が知恵を貸そうと思ってね」 「何か良い考えでもあるのか?」 「ふ…。俺の頭脳が冴え渡っているぜ」 「…さては、お前寝ぼけてるだろ」 本当に寝ぼけてたら救えないが、こいつの場合はありうる。 「失礼な」 「…本当に大丈夫なのか?」 「任せておけ。A定食3日分で手を打とうか?」 「…S定食だな」 「ふ…、珍しい事もある物だ、お前から報酬を上げるとは…」 「今回ばかりはリスクが高い、無論お前にもトバッチリが来るやもしれん」 「なるほど、正当な報酬と言う事か。おもしろい」 「交渉成立だ。完璧な仕事を頼む」 「手を抜けるほど、器用じゃないんでね…」 「…ハァ…本当に大丈夫なの?」 ハードボイルド(?)な雰囲気で交渉していた僕達に、メリーはツッコミを入れた。 「あぁ、こいつが報酬の話を持ち込んだら、やる気があるって事さ」 「S定食の為に死力を尽くすぜ」 「待てコラ」 それから僕とメリーは、俊二の作戦を聞いた。 作戦自体はかなり安直な物だったが、メリーにとっては相当キツそうな内容だ。 午後3時を回った。 「そろそろ帰ってくるな…」 「数時間だが、リハーサルも重ねた。あとは、なるようになる」 「…ねぇ…本当にやらなきゃダメ?」 「追い出されたくなければ我慢しよう…。僕は僕で、何言われるか…ハァ…」 「…うぅ…」 「む?」 委員長が何かを感じ取った。 「どうした、俊二?」 「どうやら、帰ってきたようだ…」 …ピンポーン 「何故わかる」 「これくらい当然」 「まぁいい…、はーい!!どちら様ぁー?」 「開けておくれぇ…荷物が重くてかなわん…」 …ビンゴか。 「わかったー、今開けるー」 ガチャ 「おかえりー…って、うわ、何その荷物!?」 「よっこいしょっと。ふぅ、ただいま。…いやぁ、お土産みてたら…なぁ?」 「ただいま、隆一。えぇ、特産品は魅力的ですものねぇ」 僕のおじいちゃんは、元大手工場の係長で、今は定年退職し、余生を満喫している。 人柄が良く、近所の交流が物凄い。 町内で何かイベントがあると、必ず招待されるほどだ。 おばあちゃんは、【井戸端会議の女王】と呼ばれる町内の情報屋だ。 町内の住民のありとあらゆる情報を持っている。 その情報は使い方によっては危険だが、そんな事はしない。 陰口も言わない、真っ当な人間だからだ。 女王と称されるのは、そのせいかもしれない。 「えーと…、おじいちゃんおばあちゃん。帰ってきていきなりで悪いんだけど、話があるんだ。いいかな?」 このままだと、土産話の流れに入るので、こっちから話を切り出す。俊二のアドバイスだ。 「本当にいきなりじゃのぅ…。わかった荷物を置いたら聞こう」 「さ、隆一も手伝って」 「あ、うん」 あきらかに出発の時より数倍ある荷物を持って、リビングに向かう。 リビングのソファーには、俊二とメリーが座っていた。 「あぁ、御無沙汰しております、元気そうでなによりで!!」 メリーに注目が行く前に、俊二が挨拶をする。 「おぉ、俊ちゃんじゃないか、たくましくなったのぉ」 「やだなぁ、おじいさん、先週あったばかりですよ」 「おやまぁ、俊ちゃん、お母さんは元気にしとるかぇ?」 「えぇ、おかげさまで」 僕の幼馴染なので、もちろん二人は知っている。 「…………」 だが、メリーのことは知る由もない。 「おや、このお嬢さんは、どなたかな?」 来た…。 リハーサル通りに対応できるか…。 「め…メリーです。はじめまして」 「めりー?はて、聞かぬ名じゃのぉ」 「ままま、まずは座ってお話しましょう」 俊二に促され、二人は椅子に腰掛ける。 ここから僕は一切口を出さない。 俊二に全てを任せる事になっている。 「君は…メリーと言ったね。どこから来たんだい?」 「えっと…その…」 「彼女は海外からの留学生なんですよ」 俊二が説明する。 もちろん嘘八百だ。 「おぉ!!留学生とは。日本の文化に触れるのは良い経験ですぞ」 「彼女は俺達と同じクラスになるはずだったのですが、何やら不都合があったらしいんです」 「まぁ、どんな事が?」 「えぇ、俺独自の調査で調べたんですが、うちの学校への編入、寮への登録全てが、抹消されているらしいんですよ」 「おやおや、お気の毒に…」 「学ぶべき所も住む所も無く、さらには帰る家には家族が、煙のように消えてしまったようで…」 「まぁ!!」 「どうやら夜逃げらしいのですが、行方が一切わからない状況なんですよ」 …こいつは、脳内にどんな夢物語を描いているのだろうか。 「一昨日、下校する際校門で出会って、今保護しているんですよ」 「そうなの…。大変なんですね…メリーさん」 …ここまでは完璧…あとはメリーが切り抜けれるか…。 「えぇ、国際電話ですと、何度もかけれるものでもありませんから、親戚筋にも連絡できませんし…」 国際電話って、そんなに高くないだろ…。 「日本には、どれくらいいられるんだい?」 「しばらくは大丈夫です。滞在許可証もありますし、学校関係者からの伝で更新手続きもできます」 …更新できる物なのか…? 「それでも、寂しかろう?」 「多少は寂しいです…。でも、隆一君と俊二君が優しくしてくれてるので、大丈夫です」 …嘘に迷いが無い。 本心…じゃないよな。 「どうします?おじいさん…」 「ふーむ…」 悩んでる。 …押しが甘かったか。 「あ…あの…」 「ん?なんじゃね?」 「御迷惑でしたら、すぐに出て行きます…。ごめんなさい…」 あれ?リハーサルにそんなセリフは無かったはずだ…。 「…ねぇ、おじいさん。家に置いてあげませんか?」 「当たり前じゃ。ここから追い出すような人でなしでは無いわい」 「…本当ですか!!ありがとうございます!!」 「ありがとう!!おじいちゃんおばあちゃん!!」 「あぁ、ありがとうございます。よかったな、メリー」 「ふむ、家族が増えるのは、老いぼれにとって、一番幸せなことじゃ」 「えぇ、家が賑やかなのは、素敵な事ですからねぇ」 こうして、正式にメリーは家に住みつく事になった。 おじいちゃんとおばあちゃんの前では喜んでいたメリー。 だが、僕の部屋に戻った途端。【いつものメリー】になった。 バタン(←部屋のドアを閉めた音 「はぁ…しんどかった…」 「あ~…ヒヤヒヤしたぜ、まったく」 「流石の俺も…今回はヤバかったな…」 全員が部屋でへたり込む。 「なんでだよ…思いっきり快勝じゃねぇか…」 「…お前のおばあさんは何者だか解っているのか?」 「…あぁ、なるほどね。…まぁ、大丈夫だろ」 「だといいのだがな…」 「まぁ、ともかく。メリーさん、お疲れー」 メリーに声をかけたのだが、耳に届いてないようだ 「あ~、私のプライドが~…」 「あう~恥ずかしい~…」 「何が隆一と俊二が優しくよ~…」 かなり重傷だ。 そっとしておいてやるか。 「…で、お前はお前で、何でここに居るんだ?」 「いやぁ、さっきおばあさんに食事に誘ってもらってね」 「お前は『遠慮』という言葉を知らんのか?」 「『甘える』という言葉なら知っている」 「それは覚えるな」 俊二と話していると、どこからともなく音が聞こえてきた。 シュッシュ…シュッシュ… 音の発生地を見てみると。 「…えーと何やってるんすか?」 「それは…カマなのか…?」 メリーがカマを取りだし、その刃を研いでいた。 「見ればわかるでしょ?研いでいるのよ」 「何で?」 「日常の手入れか?」 「半分当たり。刃を研いでいると気が安らぐのよ…」 「危ない趣味だな…」 「うむ、要注意だ…」 「うるさいわね。せっかく人がリラックスしてるのに…。斬られたい?」 二人で『滅相も無い』と首を振る。 そのあとメリーは2時間ほど刃を研ぎつづけた。 そして僕は、俊二が大量に持ってきたマンガ雑誌を読でいた。 俊二は…まだいた。2時間も座禅を組んでいる。 2時間の間、ほとんど会話は無かった。 カマを研ぐ音、僕がページをめくる音。 それだけだった。 だが、沈黙はメリーの一言で破られた。 「ねぇ、あんた達」 「ん?」 「む?」 ちょうど座禅が終わったのか、僕が話しかけても反応しなかった俊二が生き返った。 …もしや、嫌味か? 「カマ以外に良い武器は無い?」 「…なんだそりゃ?」 「そのカマの方が、強力だと思うが?」 そういうと、メリーは首を振り、 「違うわ、カマだと『うっかり』殺しちゃいそうだから、死なない程度な武器が欲しいの」 「…それじゃあ、カマを振り回さないでくれ」 「それは、隆一を心配しての配慮だな?」 「う…」 …図星のようだ。 「とにかく、良い武器を探しなさい!!じゃないとカマのままでいるわよ?」 「へいへい…」 「となると、殺傷性が低い物か…」 メリーに命じられ、僕と俊二はメリーの新しい武器を探す事になった。 「どう?良いもの集まった?」 「とりあえず持ってきた」 「殺傷性が低くなると、どうも限られるからな…」 傘…雑誌…おたま…ハエ叩き…布団叩き…ハンガー…辞書…輪ゴム…長ネギ?…便所スリッパ…ブーツ…ロケット花火… 次々と出される半殺人兵器。 「ハエ叩きとロケット花火は勘弁…」 ハエ叩きって…ハエ以下か…。 「まぁ、これくらい集まればいいだろ」 「そうね…」 「本当にこれで殴られるのか…」 想像して、ため息をつく… 「殴られるだけじゃなくてよ?」 「…え?うおおぉあ!!」 飛んできた辞書を紙一重で避けた 「あぶ…危ねぇ…」 「これで身のこなしを鍛えれるわね」 「当たったらどうするんだよ!!」 「打たれ強さを鍛える訓練」 「…さいですか」 当たり所によっちゃ、死ぬぞこれ…。 「隆一ー。下りてらっしゃーい」 1階からおばあちゃんの呼び声が聞こえた。 「あ、そろそろ飯かな?」 「…ふむ、時間的にそうだろうな」 「隆一のおばあさまの料理の腕前…楽しみね」 「僕が保証する。ばあちゃんの料理は天下一品さ。な?俊二…って居ねぇし」 「おーい、早く来いよー」 …1階から奴の声がした。 僕とメリーが1階に下りると、廊下に俊二がいた。 「お前は『遠慮』という言葉を学習したほうがいいな…。入ろうぜ」 「まぁ、待て餓えた愚民よ」 リビングに入ろうとした僕を俊二が止めた。 「どうした?早く入ろうぜ?」 「今日は、おばあさんが腕を振るったそうだぞ」 「ほぅ、それは楽しみ…って何で?」 「お前の後ろにいる、…今日の主役のためさ」 メリーが主役? …あぁ、おばあちゃんならやりかねないな。 「…私?」 本人は解っていない。 「さ、扉を開けるんだ」 俊二が促す。 「え…えぇ」 メリーが恐る恐る扉を開ける。 ガチャ… メリーは言葉を失った。 リビングには【新しい家族、メリーの歓迎会】と銘打たれた、たれまくが飾ってあった。 テーブルに、怪物級の大きさのケーキ。平凡ではあるが、ご馳走も並べられている。 そして、それらに負けないほど老夫婦の温かい笑顔があった。 後ろには、これまた温かい笑顔の同居人。 その隣りに澄まして笑う、不法侵入者。 何故人間は、こんな事をするんだろう。 理解できない。 今まで葬ってきた人間は、少なくともこんな温かい笑顔の持ち主はいなかった。 本当に理解できない。 何故今自分が泣きそうなのかも…。 僕は悟っていた。 メリーは、招かれざる殺戮者。 憑かれた人間は、自分を殺そうとする彼女に抵抗をする。 そして、彼女は『それ』を始末する。 メリーはいつも一人だったのだろう。 誰にも認められず。 歓迎されずに。 今メリーは、初めて出来た家族から、初めて温かい歓迎を受けている。 「こ…これは?」 僕の方を向いて、メリーがやっとの思いで口を開く。 「見ての通り。キミの歓迎会だよ」 「歓…迎会?」 「そ、キミは家族になったんだ、歓迎会ぐらいは当たり前だよ」 「家族…?」 「うん、家族。おじいちゃんとおばあちゃんが認めてくれたって事」 「あぁ――あ、ありがとうっ…スッ…ヒック…」 また泣いてるし…。 「さぁ、乾杯と行こうかの」 「はぃ」 「………はい!!」 「隆一、お前が音頭を取るんだ」 「よっし。新しい家族、メリーさんに!!」 『かんぱーい!!』 チン チン チン チン(グラスがぶつかってる音です そして、歓迎会なるパーティーが始まった。 「いやぁ、いつもながら料理が上手でいらっしゃる」 「当たり前だって。っていうか、お前食い過ぎ」 「まぁまぁ、まだ沢山作ってあるから」 「今日は、ばあさん気合入ってたからのぉ」 「あ…この唐揚げおいしいです…!!」 「あら、嬉しいわぁ♪」 「まだ、ケーキがあるからなぁ…ペース考えないと、大変だぞ…」 「私甘い物好きだから、任せなさい」 「え…あ、あぁ、任せるわ。丸ごと一個」 …メリー、ちょっと雰囲気変わったか? 「このフォークで刺されたい?」 「冗談です。勘弁してください」 「いいわ、今気分良いから許してあげる」 「心が寛大でいらっしゃる」 …いつもの通りか。 その後、ケーキに挑んだが、僕達男性陣は途中下車。 おばあちゃんとメリーで2/3を制覇した。 ケーキの甘ったるさが口に残る中、おじいちゃんとおばあちゃんの土産話がスタートした。 旅館の女将さんが良い人だった…。旅先で出会った、老夫婦とも仲良くなれた…。 二人はとても楽しそうに話していた。 土産話が終わると、学校の話を聞かれる。 学校の話は、ほとんど僕と俊二の漫才になってしまう。 担任が実はズラだった。国語の担任がズラだった。理論の担任がズラだった。 ほとんどの男性教師の頭に砂漠化の初期現象がみられた。 購買部が生徒の波で決壊した。 漫才は、夜遅くまで続いた。 メリーはその日、ずっと笑っていた。 どこにいてもおかしくはない、普通の女の子のように。 「疲れた…」 「あ~…私も笑いすぎて、疲れちゃったわ…」 「何で俺漫才してたんだろう…」 「いいんじゃない?楽しかったんだし」 「はぁ、飯食ったらとっとと帰れってんだよ…アイツは」 「でも、俊二が居なかったら盛り上がらなかったわよ?」 「まったく…ふぁ~…眠い…」 「そうね…寝ましょう」 「おぅ…」 「おやす…みッ!!」 ブゥン!! 「ぬおぉぉぉ!?」 紙一重でハンガーを避ける。 「あっぶねぇ…。寝る前にコレはねぇだろ…」 「…ZZZZzzzz…」 「うわぁお、寝逃げっすか」 こいつは…。 警戒しつつ僕も布団に潜りこみ、睡魔にひれ伏すことにした。 …はっきりいって照れくさい。 だが、このまま黙っているのも、納得がいかない。 でも、面と向かって言うのも、恥ずかしい。 だから彼女は、今言う事にした。 布団から起きて、近寄る。 隆一は寝ている。狸寝入りでもなさそうだ。 「…ありがとう隆一」 「あなたのおかげで、私にも家族が出来たわ…」 「『隆一と俊二が優しくしてくれる』か…。本当ね…。恥ずかしがって…バカみたい…」 「家族として、改めてよろしくね。隆一」 「…おやすみ」 彼女は、寝ている隆一の頬に軽く自分の唇を押し当てた。 もし途中で起きられたら、いっそカマで真っ二つにしてやろうとも思ったが、大丈夫そうだ。 礼は言った。明日から、隆一をたっぷりとしごいてやろう。 そんな事を考えながら、少しウキウキした気分で眠りについた。 ジリリリリリリリリリリリリリリ!! 朝の宿敵に敗れ、僕は布団から生まれる。 メリー…寝てるよな、やっぱり。 さっさと仕度して、学校いかなきゃな。 「それじゃ、行ってくるよ。メリーさん」 眠っているメリーさんに挨拶し、僕は部屋を出た。 拍手っぽいもの(感想やら) これはかわいいwwwwwwwwwww -- ななし (2007-07-25 02 36 05) 漫画的なものつくってみたら? -- ななし (2007-07-29 16 50 13) 携帯小説にしたらいいと思うよ -- 名無しさん (2007-10-15 16 33 47) 萌え より かわいい が先に来たのは久しぶりかもしれない。 -- talk名 (2008-04-08 22 31 33) 漫画にするのはいいかも知れない。 -- 名無しさん (2009-08-04 22 56 09) 漫画にしてみては? -- 名無しさん (2011-05-09 19 10 11) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/melly/pages/21.html
メリーの居る生活 四日目(修正版) 2スレ目 891 作: ◆Rei..HLfH. ID y0XCGtJz 『メリーの居る生活 三日目』の続編 寝ているメリーを置いて、学校に行った僕。 なんら日常と変わらなく、ぼーっとしている内に下校時間に突入した。 早いとこ帰ろうとした僕を、奴が止めた。 「友よ、帰ろうではないか」 「お前…、委員会の仕事はどうした?」 「そんな物、昼休みに片付けた」 「ち…」 メリーが僕に憑いてから、鬼委員長は普段以上に寄ってくるようになった。 もしかしたら、僕は、こいつにも憑かれているのかもしれない。 「さて、今日は商店街でバザーが開催されるようだが、行ってみるか?」 「僕は早く帰りたい…」 「帰って…どうするのだ?」 「そりゃ帰ってメリーと…」 「メリーと?」 …よく考えてみたら、何もする事ないな。 帰ったところで、いろんな物投げられるし…。 「んじゃ、…バザー行くか」 「お前も大人になったな」 「わけわからんわ」 一部現実逃避の理由で、バザーに向かう事にした。 ザワザワザワザワザワザワ 「うっへぇー、相変わらず人多いなぁー」 商店街のバザーは、月に一度のイベントだ。 その日は、商店街にあるほとんどの店が閉まり、その前におびただしい数の露天が並ぶ。 「このまま突っ込んでも、良い買い物は期待できんな、一度引くか?」 「まいったなぁ、…ん?」 「どうした?…お?」 僕らが見つけたのは、裏通りに繋がる細い道。 その細い道の曲がり角から少しだけ見えた露天だった。 「行ってみるか?」 「もちろん、裏通りから本通りに行けるしな」 僕らは好奇心に任せ、その裏通りに足を踏み入れていった。 曲がり角を曲がり、その露天の前に立つ。 その露天は、形容しがたいセンスが散りばめられた、ある意味見事な領域だった。 「これは…なんとも」 「…何屋なんだ…これ」 その露天の主だろうか… フード?を深くかぶり、一言も喋らない。 「……………」 寝ているのか? 「…にしても、気味悪いな…」 「ふむ…、蝋で作られたドクロ、錆びたナイフ、古びた書物…。その手の人間には堪らない逸品だな…」 いわゆる魔法使いの婆さんが開いてる闇魔法ショップな感じだ。 「……あれ?」 「ん?どうした」 「あの、奥でぶら下がってる人形」 「人形?………!!」 似ている…、金色の髪、左右から足れた縦ロール、眠っているが端正な顔立ち。 「…メリー」 無意識に、その名を口にした。 途端に主が、口を開いた。 「アンタは…この人形を知っているのか…?」 声は掠れていたが、何とか聞き取れた。 「人形は知らないけど、その人形に似たやつなら…」 「あぁ、俺も知っている」 それを聞いた老婆は、しばらくモゴモゴと何かを喋っていた。 断片的にだが、「大丈夫か…」「見つけられずに…」「かわいそうに…」と聞こえた。 しばらく、モゴモゴしていた主は、今度はハッキリとした口調で言った。 「おぬし等の知っている者の所に急ぎなされ…」 あまりにハッキリと言うものだから、逆に驚いた。 「え?」 「この本を持っていくといい…」 「え?ちょっと、おばあさん?」 「……………」 それきり店の主は、一言も喋ることはなかった。(死んだわけではありません) 『おぬし等の知っている者』…メリーのことか? でも急げってどういう事だ? 「ふむ…、とりあえずメリーの所に行ってみるか」 「あぁ、そうだな。おばあさんが言ってたことが妙に気になる…」 胸騒ぎがしてきた…。なにかフラグが立ったようだ…。 「とにかく、急いで家に帰ろう」 「だったら、ここから行った方が近道だ」 すぐ横の塀を飛び越える。 「委員長に知らない事はない…か」 僕もその塀によじ登って、委員長の後を追った。 「ぜぇ…ぜぇ…確かに早かったが…」 「これくらいでバテる様では、メリーの修行もまだまだだな」 「と…とにかく、家に入ろう…。ただいまー」 「お邪魔します…おや?誰もいないのか?」 家に入り、すぐに部屋に直行する。 「あぁ、二人は土産を渡しに回ってるんだよ」 「なるほど」 ガチャ… 「メリー…」 「…………」 部屋に入る。 …静かだ。…おかしい。 普段ならテレビを見てるメリーがそこには居ない。 メリーは眠っていた。 ガクッとうな垂れた。 心配して損した… 「あーったく…、骨折り損ってやつか…」 「……………いや、待て」 俊二が緊張した面持ちで言う。 「隆一、お前は学校に来た時、メリーは寝てたんだよな?」 「あぁ、それがどうかしたか?」 「部屋を見てみろ」 「部屋…?別に、起きてきた時と何も変わりは………って、あ!!」 「あぁ、メリーは部屋で何らかの行動は起こしていないようだ…」 「まさか!!」 メリーに駆け寄る。 「おい!!メリー!!起きろよ!!オイ!!」 起きない…。いつもは昼までには起きていたはず。まさか…。 「静かに………脈はあるな」 「…はぁ…、何度も心配させるなよ…」 心臓いくつあっても足りねぇ… 「…とりあえず、生きてはいるんだな?」 「まぁ、そうだな」 「はぁ…、よかった…」 「さっき渡された本。貸してみろ」 「あいよ」 あのおばあさんから渡された本を俊二に渡した。 「…妙だな」 「見た目は確かに奇妙だが、読めるのか?」 「…表紙がボロボロなのに、頁の紙だけ新品同様だ…」 「………まぁ、あのおばあさんが持ってた物だ。おかしくないだろ」 「…あー…この文字は…」 「どうだ?」 「日本語だ。お前にも読める」 「っ…今思いっきり『ズコー!!』と言ってヘッドスライディングをしたい気分だ」 「と言っても、これは…理論学?関係なさそうだが…」 そう言って、俊二は本を読み続けた。 数分後 「…どうだ?何か解決策でも載ってたか?」 「これは凄い…」 「何だ!?何か載ってたのか?」 「乗客全員が犯人だったとは…」 「その本返せ役立たず」 「まぁ、待て。この本の2章が医学書のようだ。ここに『寝たまま目覚めなくなった』という症状が記されている」 「メリーと同じか…。解決策は?」 「どうやら、このケースは何らかの精神…心の欠落によって起こる症状のようだ」 「…心の欠落?なんか胡散臭いな…」 「そう言うな、信じられる物は、これしか無い」 「…で、その解決策は?」 「記されていない」 「無責任な…なんとかならないのか?」 「わからんが、1章の理論学に、『心の欠落は必然的なもの。他人にそれを埋めてもらい、人は生きて行ける』と書いてある」 「宗教くさい…」 「さらに、3章の精神学には、『睡眠時に、互いの精神の波長が合えば、精神が共同できる』とも」 「それ…何の本だ?」 「…全くもって、不思議な書物だ。出版社も書いていなければ、著者も不明…」 「その『精神が共同できる』って、どういう事なんだ?」 「平たく言えば、『夢の共用』だろうな」 「…夢の中に入れるってやつか?」 「それを利用すれば、メリーが昏倒状態になった理由も解るかもしれないぞ」 「…やってみるか」 「詳しい手順を言う。その通りに行動する事」 「解った」 「相手に触れた状態で寝ろ。以上だ」 「その本共々焼けてしまえ」 …………………………………… vision1 一面の花畑で、金髪の少女が嬉しそうに飛び跳ねている。 …メリー? その幼い顔には、見覚えがある。 間違いない、メリーだ。 【メリー!!】 …!!声が出ない!? もちろん、彼女にも聞こえていない。 【…ここはメリーの夢の中…?】 なら聞こえもしなく、見えもしないはずだ。 僕は彼女の夢を覗いているだけで、彼女にとっては、存在しない物なのだから。 少女は蝶々を見つけて追いかけている。 …周りに目をやる。 どうやら日本ではないらしい。 ふと、蝶々を追いかける足音が消えた。 少女の目の前には大きな樹木がそびえ立っていた。 少女はその樹木を見つめたまま動かない。 【デカイな…。昔からここにいるのか?】 ふわっと、ピンク色の葉が目の前を落ちていった。 【…?】 目の前を落ちていったのは、葉っぱではなく、花びらだった。 少女に目をやる。 …いない。 【やべ、どこ行った?】 少女は消えてしまった。 辺りを見回したが、見つけることが出来なかった。 だが、僕は見てしまった。 花畑の外から、険悪なムードで会話をする女性たちを…。 そして、全員が一点の方向…おそらく少女の向かった方向を見ていたのを…。 急に、目の前が真っ白に弾けた。 【な…なんだ!?】 vision2 『おかーさん!!』 …髪の長い少女が母親らしき女性に甘えている。 『ねぇ、今度編物教えて』 『えぇ、いいわよ』 『わーい!!』 …メリーなのか?あれが… 今のメリーとは、全然キャラが違う…。 ここは…屋内か。 けして立派ではないが、しっかりとした暖炉。 テーブルと、椅子が3脚ある。 …これは、ヨーロピアンテイスト? さっきの花畑からみた建物も英国辺りかと踏んでいたが…。 まぁ、日本では無いわけだ。 地理は苦手だ。 彼女はまだ、母親にくっ付いている。 とても幸せそうだ。 『ねぇ、お母さんの指輪ってキレイだね』 『これは、お父さんから貰った、大切な指輪なの』 『何で大切なの?』 『これが無いと、メリーにおまじないが出来なくなるのよ?』 『えー。じゃあそれ無くしちゃダメだよ?』 『大丈夫。お母さんがずっと着けてるもの』 『メリーには、大切な物。あるのかしら?』 『うん!!私ね、あの広場に立ってる木。あの木が大切なの』 『あら?それは何故?』 『あの木はね、私をいつも見ていてくれる気がするの…変かな?』 『全然、変じゃないわよ。むしろとても素敵なことだわ』 『本当?』 『そうよ、私達一族は自然の原理をとても大切にしなきゃいけないの。自然と仲良くするのはとても、とても良い事なのよ?』 『?』 『それに…ここだけの話、あの樹は、魔法の樹なのよ?』 『魔法?』 『そうよ。春になると花が咲いて、夏になると葉を付けて…』 『……………』 【目をキラキラさせてる…。まぁ、まだ子供だしな…】 『それと、あともう一つ…』 『まだ何かあるの?』 『あの樹はね、ずっと昔に、お母さんとお父さんが二人で育てた樹なのよ』 『…じゃあ、私のお姉ちゃん?』 『そうね…。だからメリーのことを見守ってくれてるのね』 『えへへ…なんだか嬉しいな…』 【家族の夢見て起きたくない…ってなわけないよな…】 刹那、辺りが闇に包まれた。 【やれやれ、またか…】 vision3 【な…っ!!】 何が起きているんだ? 暗闇から抜けたと思ったら、想像を絶する光景が僕を待っていた。 僕の知った姿のメリーが、数人の人間に追いかけられている。 追手の手には、それぞれ獲物が握られている。 【何で…何で追いかけられているんだ!?】 『キリストの名に置いて貴様を連行する、待たんか魔女め!!』 魔女狩りだ!! 『私は、魔女なんかじゃない!!』 『嘘こけ!!匿名で情報が入っているんだ!!言い逃れはできん!!』 魔女狩り…中世ヨーロッパで起きた、惨劇。 何の根拠も無い噂や狂言から、多くの人々が拷問・処刑された。 今、メリーは、その魔女として追い立てられている。 【止めろ!!】 止めに入る。だが、僕の体を擦りぬけて、追手はメリーを追いかける。 【…くそ!!】 追手を追いかける。 無駄だとは解っていた。…その後の結末も。 『えぇい、忌々しい!!矢を放て!!ここで息の根を止めてやるのだ!!』 まずい!! 【避けろ!!かわすんだー!!】 メリーに向かって声の無い叫びを上げる。 ピュン!! 矢は放たれ。 少女の背中を貫いた。 そのまま少女は力なく崩れ落ちた 【あ…あ…メリー!!!】 近づく。 起こそうと思ったが、すり抜ける。 彼女の口がパクパクと開く… 『お…かあ…さ…ん』 虚空に手を伸ばす…その手は何も掴む事は無く、生命を失い、地に落ちた。 それ以降、彼女はピクリとも動かなくなってしまった…。 彼女は、何も罪の無い彼女は、孤独と共に、その短い生涯を…閉じた。 【そんな…、クソ…、畜生!!チクショウ…ッ!!】 生まれてこの方、こんなに憎しみを抱いたのは初めてだった。 僕がここに居たら…。あいつ等を刺し違いてでも皆殺しにしてやろうとも思った。 涙で視界が歪む…。 vision4 『おぉ…メリー…何てこと…』 視界が晴れると、そこには少女の骸を抱いた母親の姿があった。 場所は一転して、暗い家の中。 さっき見た家なのに、随分と印象が違う。 …待て。 おかしい、この家には照明という照明が無い…。 窓すら無くなっている。 ここは、彼女の家ではない。 ここはどこだ…。 『待っていて…必ずあなたを、生きかえらせる…』 そう言うと、そのまま奥に消えていった。 母親は黒いコートを被って戻ってきた。 『ここから遠く離れた樹木に、あなたの体を守ってもらうわ』 『時が経てば、あなたの体は元に戻っているはず』 『あなたにも、魔女の血が流れているなら…自然が守ってくれるわ』 『…そう。あなたのお姉さんが…守ってくれるわ…』 【魔女…?メリーが魔女だと?】 話が上手く飲みこめない。 今、重大な発言が来たというのに…。 【メリーのお姉さんって…たしか…】 『それまで…お休みなさい…』 …………………………………… 「……!!」 「お、起きたか」 「ハァッ…ハァッ…!!何だ今のは…」 「…何か掴めたか?」 「あぁ、…認めたくないがな…」 「大丈夫か?随分と疲れてるようだが」 「…これくらい、特訓に比べれば楽なもんだ」 「で、これからどうするんだ?」 「ちょっと、行く所がある」 「…あの露店か。俺も行くぜ」 「いや、お前はここに居てくれ」 「ぬ?…解った。早く行って来い。バザーが終わっちまうぞ!!」 「あぁ、行ってくる!!」 今は5 58か…閉会が6時…マズイな。 間に合うか!? 「ハァ…ハァ…ハァ…」 無い…。 露店が消えている…。 「くそ…」 救う手段が無くなってしまった…。 主のおばあちゃんは消えてしまった。 「もう…ダメなのか…?」 「誰をお探しかね?」 「………!?」 老婆の声!! 振りかえる。 「おばあちゃんかよ…」 「おやおや、随分な御挨拶ねぇ」 まてよ…。 「ねぇ、おばあちゃん。ここの露店の人どこに行ったか解らない?」 「ここの露店の人かしら?それなら裏山で見たって聞いたわよ」 「ホント!?サンキュー!!おばあちゃん!!」 「裏山行くなら、クリーニング屋の間を抜けて行くと近道よー」 流石女王…。 おばあちゃんの言いつけ通り、クリーニング屋の間の抜け道を通る。 凄い近道だ…もう山が目の前だ。後で遅刻回避ルートに組み込もう。 階段で山を登る。 あの木が、俺の知っている木なら、必ずあそこに居る。 山頂についた!! 「ゼェゼェ…なんか…今日…息切ればっかしてる気が…」 顔を上げる。 あの怪しい露店の主…、メリーのお母さんはそこに居た。 フードを羽織り、桜の木を見つめている。 「桜は…来年の春まで咲きませんよ、おばさん」 「あら、よくここが解ったわね」 「僕のおばあちゃんの情報網は、町内ならNASAにも負けないんでね」 「あの子は…?」 「家でまだ眠ってるよ」 「………」 「メリーの夢を覗かせてもらったよ」 「………」 「とても…悲しい夢だった」 「………」 「聞きたい事があるんだ。いいかな?」 「どうぞ…」 「なぜメリーは人を襲うような事をしていたんだ?」 「…本当は、私が立ち会って、この木から解放されるメリーを受け止めるはずだったの」 「…会えなかったのか?」 「ズレが生じて、予想よりずっと早く、この木から開放されたの」 「………」 「それで、暴走が始まって、人を襲うように…」 「なんで暴走なんかするんだ?」 「…精神の影響でしょうね…」 「精神?」 「あの子は、人を殺めることで、自分の精神を守りつづけていたの」 「………!!」 「恐らくは、自分を殺した者への復讐心でしょうね…」 「………」 「人を…つまりアナタを殺すことを否定した結果、自分の精神を保てなくなり…」 「昏睡状態に陥った…と?」 「そういう事になるわね…」 「なるほど…」 「メリーはアナタを鍛えようとしているみたいだけど…何故だかわかるかしら?」 「……さっぱり」 「アナタとメリーは…同じだったのよ」 「…解らん」 「そのうち解るわよ」 「おばさん…あなたは何歳なんですか?」 「中世ヨーロッパ以前から生きてるわ」 「…ホンマもんの魔女だね…」 「結構面白い物よ?」 「なぜ…桜の木を育ててたんだ?」 「長生きすると、いろんな場所に行きたくなってね…」 「それでジパングに来たときに見惚れた…とか?」 「そうそう…あの人と出会ったのも…思えば日本だったわね…」 「………」 「さて、僕はメリーを助けるんだ。おばさん、どうすればいいか教えてくれ」 「あなたに…守れるの?」 「…どちらかと言うと、メリーから守ってほしい」 「…余裕ね」 「実際は結構切羽詰まってるけどね」 「これでしょ?アナタが欲しい物」 それは、露店の奥でぶら下がっていたメリーに似た人形だった。 「それがヒントよ。あとは自分だけで解決なさい」 「あ!!まだ聞きたいことが!!」 その時、咲いているはずの無い、桜の花…桜吹雪が僕を飲み込んだ。 僕は自分の家の前に立っていた。 あの人形を抱いて。 ガチャ!! 「俊二!!」 「…って瞑想中かよ」 肝心な時に…。 仕方ないので一人で謎を解くことに。 くそ…人形がヒントったって…? 『あとは自分だけで解決なさい』 僕が解決…つまり僕しか解らないことなのか? メリーの弱点を攻めると起きるとか… …弱点ってあったか? メリーと人形に関する可能性のある行動をあらかた試したが、どうにも変化はなかった。 となると…夢の中か…。 …お母さんが登場したのは、2と4。… 2の内容は、親子と……大切な物……お守り……。 お守り!! まさか、この人形にお守りが隠されているのか? 慌てて服を引っぺがしてみたが、指輪は見つからない。 「ねえじゃんか!!…って、お?」 腕にキラリと光るアクセントを見つける。 指輪が腕輪となって人形についていた。 これが、お守りか…。 外した指輪を見る。 『アナタとメリーは…同じだったのよ』 …そうか。 あの時の言葉をやっと理解した。 逃げることしか…できなかったよな…僕は…。 メリーが来たとき、僕はパニックに陥ってて何がなんだか分らなかった。 まぁ、ある意味結果オーライで終わったのだが。 彼女も、あの時、逃げずに凛とした態度で反論していれば、殺されなかったかもしれない。 あれだけ、素直で可愛らしい娘だったんだから…。 メリーと僕は、追っ手からの『死』メリーからの『死』から、間違った選択肢を選んでいたんだ。 …もう逃げない。 同じ過ちは繰り返さない。 「この指輪に誓う。俺はもう逃げない。何にとは…言えないが、とにかく逃げない」 そして、お守りをメリーの指にはめた。 「指輪が…」 「光っているな…神々しい…」 「もう少し瞑想しててくれ。お前は感動のシーンに相応しくない」 「邪険にするな…ん?この匂いは…?」 「桜の香りだな…」 「ほぉ…、奇跡の極みと言ったところか」 「姉さんが起こしてるんだよ…優しくな」 「ンン…ッ」 「ふぁ~…あら、おはよう」 「よぉ、こんばんは」 「?」 時計を差し出す。ついでにカーテンを開ける。 時刻はPM8時を指していた。 「……え~と…私こんなに寝てたの?」 「そりゃもう、ぐっすりと」 「なんで起こさないのよ!!」 「起きないからだ」 「うるさいわね!!」(ブンッ!!ゴッ!! 「ウガァッ!!」 8時の時計が僕の額に導かれた。 「ふ…起きたら起きたで騒がしいものだな…」 「イテテテ…お前…いつまで家にいるんだよ」 「あら、俊二。アナタも来てたのね」 「まぁ、俺はもう帰っておく、二人の邪魔は野暮だからな」 「わけわからん」 「………」 「それではアディオス!!」 「玄関から帰れ!!窓開けるな!!」 「…ち」 「『ち』じゃねぇ!!」 ズルズルズルズル… 隆一が俊二を引きずって部屋から出て行く。 「…(ボー)」 低血圧なので、頭が回らない。 「………」 目を擦る なにやら色々な夢を見た…。 花畑で遊ぶ夢…大好きなお母さんと話してる夢…思い出したくない…あの夢…。 けれど、最後に見た夢は不思議な感じだった。 「お姉ちゃんが…起こしてくれた気が…」 ふと、自分の肉親に姉が居ないことを思い出す。 「私とした事が…相当寝ぼけてるわね…」 「……?」 まぶたに堅い物が当たる。 擦っていた指を見る。 「……!?」 眠気が吹っ飛んだ。 「こ…これお母さんの…」 自分の寝ている間になにが起きたか、隆一に白状させよう。 ついでに、床に転がっている、自分に似た半裸の人形の事も含めて。 その日、町内には夜中に悲鳴が数十回に渡り響いたと言う。 拍手っぽいもの(感想やら) 半裸www -- ななし (2007-10-23 02 43 48) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/th_sinkoutaisen/pages/314.html
no +信仰 コスト 戦闘力 HP df 労働 知識 探索 特殊能力 066u 000 000000 002000 080 40 5 8 8 異変解決力UP 初期の頃から異変解決のエキスパートとして名高い秘封倶楽部の一人。 戦闘能力は全く無いが、こちらは戦闘で逃げる。逃げるだけ蓮子よりマシである。 それとも夢か現実か分からないのだろうか。 少女秘封倶楽部と合わせることで、核反応すら完全制御し、亡霊の胃袋すら満たす。 あげくの果てには遣隋使事件の真相すらあばいてしまう。ある意味一番恐ろしい。 メリーは紫と同時に場に存在する事ができない。 紫を出そうと何回もクリックしてしまう事がたまにあるのは仕方ない。制作者だってやってしまったもの。 また、メリーがスキマ送りされると紫に変化する。 因みにこの時出現する紫の戦闘力はメリーの4倍となる。 超強化された紫を狙いたくなるが、相手がそう都合よく撃つ訳もないのであきらめよう。 一応神隠しの主犯にメリーが飲まれても同じ現象が発生する。どういう場面か想像もつかないが。 偶に勘違いされているが、紫がスキマに送られた場合はメリーにならず廃棄される。 自分から能動的に紫にする方法はあることにはあるのだが… また、そんなスキマ送りを未然に防げるスキマ塞ぎを半減する事ができる。 霊力半減は素晴らしいが元々ほとんどの独立宣言に対応してないのが問題。 異変絶対解決という言葉に騙されてEx異変に乗り込んでしまった人は正直に挙手しましょう。 異変の報酬で嫁とサポートとまとめて手に入れることも可能。 これでエア巻物などをを突破できれば占めたもの 攻撃 マエリベリは逃げ出した* 戦闘離脱 *彼女は蓮子より現実を良く見ている 関連霊撃 108m スキマ塞ぎ 30→15 『スキマ送り』の対象から外れる 456m ラフカディオの影 10 小泉八雲A.D.1900 関連サポートカード 204s 少女秘封倶楽部 蓮子×メリー 異変絶対解決 252S さよなら人類 独立宣言:脱霊魔咲早妖 キャラ制限ボーナスLv1 250S 忘れ去られた百鬼夜行 独立宣言:脱人気キャラ キャラ制限ボーナスLv2 366S ♪魔術師メリー メリーのテーマ 異変解決度に応じたラフカ 特別な入手方法 異変「夢違科学世紀」(N)をクリア
https://w.atwiki.jp/melly/pages/18.html
メリーの居る生活 二日目 2スレ目 638(修正版) 作◆Rei..HLfH. ID GkyoLLAD メリーの居る生活 一日目の続編 「おはよ~…」 「お、隆一おはよーさん」 僕はフラフラと自分の机に着き、そのまま力無く伏せこむ。 「なんだ?疲労困憊なノリだな」 「どんなノリだよ…。あ~眠い…」 昨日の突然の来客のおかげで、僕は一睡もしていない。 「ところで、昨日のアレは本当なのか?」 「僕は嘘であってほしい…眠い…」 昨日、僕はメリーさんに取り憑かれた。 嘘みたいな話だが、本当のことだ。 実際彼女に殺されかけたのも事実。 「で、そのメリーさんとやらは?」 「お前うるさい…寝るからむこう行ってろ…」 「委員長である俺の目の前で寝るとは良い度胸だな」 「ぐ…」 しまった…、そういえばコイツ委員長なんだった。 「昨日俺が電話で助けてやった恩を忘れるとは…薄情なやつだ」 「安心しろ、お前の助言は徒労に終わっている」 「で、あの後何があったんだ?聞かせてくれたら、授業開始まで寝ることを許す」 「分かったよ…」 あの後…。 「ということで、まずは…」 彼女は、おもむろにカマをしまうと、 「眠いわ。寝床を用意して」 「待ってください」 出来るだけ怒らせないように、下手に出てツッコミを入れる。 「ん?何か問題があるの?」 「キミはここに住む気?っていうか寝るの?」 「当たり前じゃない。私だって眠くもなるし、お腹も空くわ」 「………で、別の部屋で寝るってのは?」 「却下」 「何で!?」 「まずあなたの事を知るために、しばらくは観察させてもらうわ」 「…一人で寝るのが怖いとk」 言い終わらないうちに、一陣の風が舞起こった 「死にたい?」 メリーはカマを僕の首にかけていた。 「ゴメンなさい、失言でした」 「まったく…私がオバケを信じてるとでも思って?」 言いながらカマをしまうメリー。 どうやって出したんだ…? 「でも、さっきの騒動で部屋が荒れてるんだけど…」 「…………」 「片付けて、客人用の布団を運んで、…面倒だなぁ」 「あなたが暴れたからでしょ?」 「誰かさんも、でかいカマ振り回さなきゃ、こんなにならなかったんだけどね」 「…悪かったわよ」 「へ?」 カマが振り下ろされるかと思ったが、意外な言葉が飛んできた。 「えっと、今なんて?」 「…私も部屋を滅茶苦茶にしたのは事実だし」 「………」 「うるさいわね!!さっさと片付けるわよ、…私も手伝うから」 何も言ってませんが…。 「…そうだな。僕はコッチやるから、メリーさんは棚から落ちた物を戻しちゃって」 二人での部屋の片付けはそんなに時間は掛からなかった。 僕はそのあと、1階から客人用の布団を担いで、自分の部屋に持って来た。 「で、どこに敷く?」 メリーは部屋を見渡すと、 「あなたはどこに寝るの?」 「僕は、そこの窓の近くだけど?」 「じゃあ、その隣り」 「止めれ」 コンマ秒でツッコミを入れる。 「冗談よ。そこの壁よりに敷いてくれる?」 「へいへい…」 「襲おうとしたら、ぶつ切りにするからね」 そんな命知らずじゃありません。 と言う事で、寝ることにしたのだが、 いきなりの来客で、それが自分を殺しに来た女の子。 それが同じ部屋で寝てるとなると、やはり眠ることは出来ない。 カーテンを開ける。 都心から少し離れてるので、星がそこそこキレイに見える。 静まり返った部屋…。 数時間前まで、この部屋で九死に一生なイベントをこなしてたのが、嘘のようだ。 すこし気になったので、耳を澄ましてみる。 ……… 「スゥ…スゥ…スゥ…」 規則正しい寝息。彼女は寝ているらしい。 (呑気なもんだ…こっちは寝れないってのに…) これからのことを想像しながら、夜明けを待つことにした。 ジリリリリリリリリリリ!! 朝の天敵が僕を起こそうとしている。 その僕は、すでに着替えてベランダで体操していた。 「ん~…うるさいわね…」 朝の天敵は僕が止めないことを良い事に、メリーさんに標的を入れたようだ。 僕は面白いので、それを見ていることにした。 ジリリリリリリリリリリリリ!! ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!! ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!! ジリリリリリカチッ 「お勤め御苦労」 彼女は寝起きが悪い。っていうか、起きない。 低血圧なのか? 寝ているメリーに布団をかけなおして、 僕は鞄を持ち、1階に下りた。 一昨日から四日間。僕の家族である、おじいちゃんとおばあちゃんは温泉旅行に行っている。 メリーには書き置きを残しておけば、大丈夫だろう。 そんな事を考えながらトーストをかじる。 そして、通学中に睡魔に誘われたと。 「全部話した…僕は寝るぞ…」 「なるほど、分かった。授業開始まで寝ることを許す。…といっても」 キーンコーンカーンコーン… 「もう授業開始だがな」 「…後で思いっきり殴ってやる」 「お前の話が長いから悪いのさ」 そこで僕は気付いた。 「っていうか、授業開始前なら寝ても問題無いんじゃないのか…」 「まだまだ修行が足らんな」 「鬼か…お前は…」 「いいや、委員長だ」 この極悪委員長こと、俊二は僕の幼馴染。 父親が武道に流通した人らしく、 本人もそこそこ武術の心得を持っている。 性格は明るくて面白く、ムードメイカー的な存在だ。 地獄の授業中(現代国語・社会基礎・理論・数学) やっとの思いで昼休みに入った。 「腹減った…眠い…腹減った…眠い…」 かなり限界に来てる。 食堂や購買部に行くにも1階に下りなきゃならないが、僕にはその力は残っていない。 死を待つ冒険者か…ゴフ… 「ほらよ、相棒」 遠くの世界に行く僕に鬼委員長が何かを投げよこす。 「おぉ…神の恵みだ…」 おにぎりが三つ入った袋だった。 「ツケとくぜ」 「踏み倒す」 「恩を仇で返すかお前は」 もちろん、僕はそこまでヒドイ奴じゃない。 こいつもオゴリのつもりで買ってきている。 「あと2時限。気張れよ」 「あぁ、ってことで寝る」 おにぎりの摂取で体力を使い果たし、そのまま机に倒れこむ。 「よし、俺はお前に愛の子守唄を…」 「それを歌ったら、僕が過労死すると思え…」 そしてそのまま意識を失った。 6限目(英語)で事件は起こった。 「やべぇ…、昨日の騒ぎで課題やってねぇ…」 「あーあ、こりゃ腕立て…ヒィフゥミィ…500回だな」 「やっちまった…」 「おーい隆ちゃん、ジュース買ってきてくれよ」 山崎が絶望の彼方にいる僕に言う。 「わりぃ、課題終わらせんとダメだから無理だ」 「あぁ?課題なんてやんなきゃいいじゃんかよ」 「山やんは、先生が怖がってパスしてくれるからだろ。僕はそうもいかない」 「しゃあないなぁ…、コラァ!!そこのガリ勉メガネ!!」 クラスで一番優秀な典型的キャラにドスの効いた声で脅しをかける。 「はい!?わ…わたすですか?」 「テメェだよ!!今日の英語の課題隆一に見せてやれ。俺のに写させる」 「わっ分かりました!!コレです。終わったら机に置いといてください!!でわ!!」 ゴメンよ…川岸… 「ほらよ、終わったらさっさとジュース買って来いよ」 川岸のノートと、ジュース代を渡される。 「わかった。いつものでいいのか?」 「今日はリンゴだ」 「了解」 山崎は見た目は図体のデカいヤンキーで、 喧嘩になると、一騎当千の強さを発揮する。 だが、山崎も幼馴染で、根はとても良い奴。 しかも甘党だ。 同じ幼馴染の俊二がすこし警戒しているのは、 先月大喧嘩したかららしい。 さっさと課題を終らし、ジュースを買いに行く。 課題の提出を無事に終え、授業もこなし、下校時間になった。 メリーが家で何をやっているかが心配になった僕はさっさと帰る事にした。 …が、待ち構えていた俊二に捕まってしまった。 「一番最初に教室を出た僕より早く外にいるってどういうことだ?」 「世界は広いのだよ」 「ちゃんと答えろ」 「次元を越えるくらい造作ないことだ」 「………」 「俺もメリーさんとやらに挨拶しようと思ってね」 「まったく…………………」 と、僕は校門に目をやって、止まった。 普通ならあり得ないことだが、現実は僕をからかってるようだ。 「どうした?何か衝撃映像でも見たのか?」 「なぁ俊二、お前には校門に立っている女子を見えるか?」 「俺の目には金髪縦ロールのお嬢様が見えるな」 「お互い眼科に行った方がいいな」 「逃げるな、友よ」 「はぁ…」 校門には、書置きを無視し、何故か校門の前に立っているメリーさんがいた。 「……なんで?」 とりあえず近くに行き、あらゆる意味を込めたセリフを言う。 「遅い、待ちくたびれたわよ」 「書置きに、『家に居てください』と書いておいたはず…」 「敬語かよ…」 うるさい委員長 「帰りが遅いから、心配して迎えに来てあげたのよ」 「腹減ったんだな…」 「…わかっているなら、早く帰って食事の用意をしなさい!!」 帰りはメリーさんも入れて3人で帰る事になった。 俊二とメリーは、とくに問題も無く他愛もない雑談をしていた。 が、僕は俊二がしきりに後ろを警戒しているのに気付いた。 僕もさっきから怪しい学生を見ている。それも同じ奴を何度も。 嫌な予感がしていたが、ある住宅街に入って、その予感は的中してしまった。 「よぉにいちゃん、可愛い娘連れてるじゃねぇか」 いつの時代生まれなんだよ…。 見た所4人の不良に囲まれてしまったようだ。 その中に何度も見たあの怪しい学生もいた。 「にいちゃん、悪い事はいわねぇ、その娘こっちによこしな」 …あんたらに渡ったら一瞬にして肉塊の出来あがりだな。 だが、僕はメリーを見て気付いた。 …メリーさんの顔が強張っているのを。 そして、その手に握られているはずのカマは今僕の家にあると。 「さぁ?どうする?痛い目見る?その娘を渡す?」 マズイ…マジ目だ。 「まだ一つ選択肢があったりして」 「あん?」 不良の目の先には、委員長がいた。 ぶっちゃけ僕はこいつの存在を忘れていた。 こいつなら4人相手でも楽勝だろ。 「俺ら2人でお前等を撃退する。ってのはどうよ?」 「やっぱりアンタは鬼だ」 僕も戦えということらしい。 「まだ選択肢は残ってるぞ」 「あん?(二度目)」 「3人で大暴れ。っつうやつだ」 「山やん!!」 「山崎か…」 「なんだ?べっぴんな姫様と盗賊団から姫を護るナイトってメンツは?」 メリーがカマ持ってたら、危険物を輸送中にテロ軍団に襲われた自衛隊なんだろうな… 「見ての通りだ、加勢するなら来い。見物なら帰れ」 「喧嘩の華がなきゃつまらねぇだろダボが」 「………あとでお前も退治してやる」 「上等…さっさと片付けようぜ」 仲が良いのか、悪いのか…。この二人はいつもこうだ。 話から完全に無視された不良がそろそろ我慢の限界の様子。 「なんだか知らねぇが、痛い目みたいようだな、あぁ?」 短期な不良が臨戦体勢に入った。 「死ねやゴラアァァァー!!」 リーダーらしき不良が山やんに殴りかかる。 が、あっけなくガードされ、 「踏んでる場数が違いすぎるんだよっ!!」 おつりのボディブローで昏倒する。 「あぁぁぁぁぁぁっ!!」 リーダーの横にいた不良が俊二に飛びかかった。 何の型もない、自己流の格闘など取るに足りんといった足取りで、攻撃をかわし。 体勢を低くし、下から掌底でアゴを強打し、倒した。 「まずは、ステップから習うんだな」 だが相手は4人。 2人倒してもまだ2人居た。 そして、やっぱり1人が僕の方に突っ込んできた。 2週間ほど前に、興味本位で俊二に習った技を使う時が今のようだ。 メリーさんには怖さのあまり、使えなかったが、メリーさんに比べれば怖くもない。 …どうやら、早速特訓の成果が出ているようだ。 僕は鞄を相手の顔面に投げつけた。 相手はソレをはたき、真正面の僕を殴りにかかる!! が、僕はそこにいない。 僕は鞄を投げた瞬間、相手の後ろに回りこんでいたからだ。 僕を見失った不良は、突然の事でわけもわからず左右を見まわている。 そして僕は後ろから思いっきり延髄を殴りつけた!! 不良はそのまま崩れ落ちた。 「ひ…ひいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 仲間の3人がやられてしまったのを見て、 残りの1人は逃げ出してしまった。 が。 「待てやワレェ!!落とし前つけんかぃ!!」 「とりあえずお前も叩きのめす!!待てぇ!!」 逃げた不良を追っかけて、山やんと極悪委員長は行ってしまった。 残ったのは、気絶した不良3人と僕とメリーだけになった。 「まぁ、なんとかなったみたいだな…」 振り向こうとしたが、止められた。 背中が暖かい…さらに肩の下あたりに二つの柔らかい突起物…。 …抱きつかれてる? 「…どうした?」 もう一度振り向こうとして…。 「振り向いたら殺すわよ…」 …止めた。 彼女の腕…。 僕を捕まえている腕が震えていた。 「…怖かったのか?」 「…カマがあれば…あんなチンピラ秒殺よ…」 「いや、殺すのは犯罪」 「……………ヒックッヒック…」 泣いてる…? 「もしかして、泣いてる?」 「……かっ…んだから…」 「…へ?」 「怖かったのよ!!ヒック…」 「いきなり叫ぶな!!」 あービックリした… 「悪かったわよ…ヒック…」 「………これに懲りて、しばらくは家でおとなしくしておくこと」 「………わかったわ」 「家帰ったら、僕の得意料理を披露する」 といっても、カレーなのだが。 「…あ…ありがとう…」 「さて、家に帰ろう!!」 「……うわあぁぁぁぁぁん!!」 「いきなり泣くなー!!」 まだメリーさんとの生活は始まったばかりだ。 だけど、なんとかこのままやって行けそうな気がする。 「辛いわ。甘くして」 「無茶言うなよ」 …たぶん。 拍手っぽいもの(感想やら) やべえwwwwww可愛すぎるwwwwwwwwww -- kaz (2006-06-06 22 15 17) アニメ化はいつですか? -- 名無しさん (2008-11-02 22 43 39) ツンデレwwwwwwww -- 名無しさん (2009-03-01 16 38 27) 可愛すぎだろこれww -- 名無しさん (2009-08-04 22 47 08) メリーさんを私にください -- 名無しさん (2010-08-06 00 31 49) メリーさんからの電話はどうしたらきますか? -- 名無しさん (2010-10-09 10 35 48) ツンデレwwwwwww -- 名無しさん (2011-05-09 18 55 47) か、かわいい… -- 名無しさん (2012-11-02 01 18 49) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/melly/pages/32.html
メリーの居る生活 六日目 4スレ目 311 作: ◆Rei..HLfH. 『メリーの居る生活 五日目 前編・後編』の続編 「おら、隆一起きろ。学校遅れるぞ」 「ん~…」 まどろみに漂う僕のことを、誰かが呼んでいる。 「今日は登校時間が遅めだが、そろそろ起きねえとアウトだぞ」 誰だ?…メリーか? 「ったく…、仕方ねぇ。目覚めの接吻を受けろ」 …この声は――――!? 瞼を開けると、ヤツの顔が目の前で、どアップで展開されていた。 「ぬぁらああああああああああ!!」 「うおっと…」 「ハアッ…!ハアッ…!」 今朝一番の力を使って、【目覚めの接吻】を回避する。 「グットモーニング」 「…変態はお帰りください」 爽やかな笑顔の変態に、悪態をつく。 「つれないねぇ、こうやって幼馴染が起こしに来てやったのに」 「…『変態が襲いに来てやった』だろ?」 「起きねえと、食っちまうぞ?」 「わかった、起きる。起きるから貞操は勘弁してくれ」 なんだかよくわからない起こし方をされて、とりあえず一階に行く。 「何だって、お前が家にいるんだよ」 「行っただろ?起こしに来たって」 「だってお前、学校はどうしたんだよ?」 「まったく…早く覚醒しろやコラ」 呆れ果てたといった様子で、肩をすくめ、 テーブルに着いた僕にゲンコを繰り出す。 「いてて、何しやがる…」 「昨日どれだけ大変な思いしたか忘れたか?」 「昨日…?……あー!!そうかそうか!!今日は文化祭だっけか?」 昨日は幼女の面倒を見てたおかげで、すっかりさっぱり記憶から抜けていた。 「ったく…今何時か見てみ」 「え?」 壁掛け時計を見ると、9時45分を指していた。 「俺が起こしに着たことを感謝するんだな」 「いい時計だろ?」 「顔洗って来い。朝飯はの仕度しておいてやる」 渾身のギャグを放ったつもりだが、スルーされる。 大人しく顔を洗いに洗面台にフラフラと歩いていく。 ジャー… バシャバシャ!! 「フヒー!!効いたぁー…」 冷水を顔面に浴び、思考が冴えた。 委員長補佐は、10時20分に来てくれとか言ってたな。 のんびり歩いても着く時間だ。 「まぁ、早めに出るに越した事は無いか……ん?」 タオルで顔を拭いていると、風呂場に誰かが入っていることに気づいた。 おばあちゃんかな? 「おばあちゃん、僕今日文化祭だから、良かったら来t―――」 そこには、湯船に使って鼻歌でも歌わんとばかりにご機嫌なメリーがいた。 「♪~♪♪♪~―!!………」 こちらA21部隊、ターゲットに接触。 さらに先方はこちらに気づいた、これからスキンシップを試みる。 「……100点」 「死ねぇ!!」 メリーは近くにあった風呂オケを力いっぱい僕に投げつけた。 ガチャ 「おう、卵とかいくつか使わせてもらったぜ―って、どうした?デコ痛そうにさすって」 「…男の勲章だ」 おデコを撫でながら、リビングに入る。 「そういえば、お前が朝飯作るのって久しぶりだな」 「あー…二ヶ月ぶりって所か?」 「まぁ、そんな所だな」 テーブルを見ると、黄色い物が皿の上にてんこ盛りに盛られていた。 「…相変わらず、玉子焼き好きなんだな」 イスに座りながら、良い匂いを放つ玉子焼きを口に運ぶ。 「卵こそ最強の食材だ。…よし、食うか」 後片付けしていた俊二がテーブルに着く。 「玉子焼き以外に、何か作れるようになった?」 「いや、全然ダメだ」 「玉子焼き作れて、何で他のが作れないんだよ…」 「食材に対する愛情だろうな」 「この前、沸騰したお湯に卵の『中身』をぶち込んで【ゆで卵】とか言ったよな?」 「…愛情だ」 玉子焼きを二人で黙々と食べているところに、メリーが部屋に入ってきた。 ガチャ 「ふぅ…」 自分専用のパジャマ(新調)を着た彼女の頬は、 軽く赤らめていて、まさに風呂上りといった感じだ。 「お?おはようさん。今日は早いんだな」 俊二が風呂から出てきたメリーに軽く挨拶をする。 「あら、俊二までいるの?…あぁ、今日は文化祭だしね」 「…なんで、メリーが知ってて君が忘れてるのかね?」 「陰謀ですよ。騙されんでください」 「…なぁ、メリー。お前も学園祭来るか?」 「え?」 「―ぶっ!?」 何を血迷ったか、俊二がメリーを誘い出した。 「総督、お待ちください!!彼女は危険です!!(モゴモゴ)」 「どういう意味よ!?」 「そのまんまだ!!(モゴモゴ)」 「口に物入れて喋らないでよ!!」 ドス!! 「ごはッ!?」 鋭いボディブローをまともに食らい、口の中の物を吐きそうになる。 「おーっと。コーチから牛乳が差し出された!!ここで試合終了ー!!」 俊二が棒読みな実況を交えつつ、僕に牛乳を差し出す。 「んぐ…んぐ…くはぁ…」 今の一撃にいろいろな物を衰退させられ、そのまま机にうつ伏せになる。 「…で、その文化祭に私も行っていいわけ?」 「あぁ、学校の売り上げに少しでも貢献しないとな」 「出費は隆一持ちね」 「金さえ入ればOKだ」 僕が反論できない状態で、事が進んで行った。 ――――――――――― 「隆一、鍵閉めた?」 「おう。カバン持ってこなかったが、いいのか?」 「今日は必要ない。荷物になるだけだ」 「必要なのは財布だけ~♪」 手さげ袋を持ったメリーが能天気にはしゃぐ。 (手さげ袋は、お土産を入れるために持っていくそうだ) 「やけにご機嫌だな…」 「さて、のんびり行くか」 午前10時 学校にはのんびり歩いても10分でつく。 僕達は三人並んで学校に向かった。 「ところでさ、今朝はメリー早起きじゃないか?」 「ん?」 「いつもはもっと遅い時間に起きるはずだろ?」 「あ~…。まぁ、気にしない気にしない」 言いながらヘロヘロと手を上下させる。 「何か隠してるだろ?たとえば昨日寝れなくて、眠りの浅いまま朝が来たとか」 「そ、そんな事無いわよ?」 裏返った声で言われても説得力無いな。 「たとえば、文化祭が楽しみだったり?」 「ち、違うわよ!!」 あ、ムキになってる。 「やっぱりメリーって子d――」 「うるさい!!」 シュル カチャ― ドス!! 「ぐふぁ!?」 メリーが何かを出した瞬間 迅速の速さで、その『何か』が僕の横腹を突いた。 横っ腹に激痛が走り、崩れ落ちる。 「か…かはっ…」 「おーおー、見事に入ったねコリャ」 俊二が方膝を付いて悶えてる僕を覗き込む。 「ふん!!」 カチャ 見ると、メリーは怪しく光る棒を折りたたんで、腰に下げたポシェットにしまっていた。 「あれで突かれたのかよ…いってぇ…」 ズキズキと痛む横腹は、さするのも億劫なほどダメージを負っていた。 痛みが引いて来て歩き出した頃、僕らは目の前に見知った後姿を見つけた。 「おーい山やーん!!」 のそのそと歩いているクマ…もとい、幼馴染に声をかける。 「あぁ!?」 すぐさま鈍く光る目がこっちに向けられる。 「…んだよ、お前らか」 「おっす」 「よう、大将」 近くまで行き、挨拶する。 「おう。お前らも20分登校か?」 「まぁな、お前地に戻ってるぞ」 「おっと、………」 俊二に指摘され、山やんはあわてて不良の仮面をかぶる。 『地』とは、山やんの性格の事である。 「………」 「………」 山やんとメリーの目が会った。 このまま乱闘に発展するかと思ったが、意外にも…。 「ッチ…」 「フン…!!」 お互いそっぽを向く。 「何やってんだ?お前らは」 「何か通じるものでもあったんだろ?」 「いや、そうは見えないけどな…」 「――ん?」 俊二と話していると、山やんが何かに気付いた。 「どうした?山やん」 「あぁ…お前ら、先学校行ってな…」 「またか…?ご苦労なこったな」 「?…え?」 状況を理解していないメリーが、一人困惑している。 「先行ってるぞー」 僕はメリーの手を引いて、さっさと歩く俊二に付いて行った。 「……………フン」 山やんは、無愛想に返事をした。 「ねぇ、隆一どうして山…やん?を置いていったの?」 しばらく歩いたところで、メリーが聞いてくる。 「あぁ、他校の学生が山やんを倒そうとして、よく待ち伏せしてるんだ」 「ずいぶん前から付いてきてたみたいだが、しびれ切らして出てきた…って所か」 それに気付いていて、何故山やんに教えないのか…この男は。 「…もしかして、日常茶飯事なわけ?」 メリーが訝しげに聞いてくる。 「どんぐらいの割合かな?」 「二日に一回は確実に来るとか言ってたな」 改めて考えると、山やんは凄い奴だ。 …まぁ、僕の左には互角に山やんと渡り合える委員長と、 右には、本気を出せば山やんを倒せるであろう女性が居るのも事実だ。 「山やんの事だ、3分もあれば終わるだろ」 「まぁ、奴もそれを予想して早めに出てきたのだろう」 「あんた達…変わってるわね」 メリーが付いていけないといった様子で、ぼやいた。 ――――――――― 「おー!!やってるやってる」 「賑やかなこったな」 「へー…なかなか面白そうね」 メリーは大人ぶってはいるが、内心うずうずしているのが見て取れる。 「で、どこから行くの?」 「まずは職員室だな。出席取らんと」 「あぁ、欠席扱いになるしな」 僕と俊二はスタスタと職員室のある校舎に向かった。 「ムゥ…」 ちょっとふて腐れたメリーも仕方なく後を付いていった。 基本的に外では飲食店や、規模の大きい出し物が並んでいる。 「焼きそばいかがっすかー!?」「焼きトウモロコシ美味いよー!!よっといでー!」 活気に満ちた掛け声や客呼びの声。笑い声が絶えない人のざわめき。 香ばしいトウモロコシの焼けた匂いが、夏に近所の神社で行われる祭りを思い出させる。 そう。学校中が今祭り一色に染まりきっている。 「今年もいい感じになってるな」 俊二がサイフの中身を確かめながら店の配置を把握している。 こいつは露店全制覇を目指しているのだろう。 「今回もやるのか?よくそんな金があるな…」 「今日と言う日に使わなければ、いつ使うというのだ?」 「この日ぐらいにしか、金の使い道は無いのかお前は」 職員室に着いた僕らは、メリーを廊下に待たせ出席を取る為に中に入っていった。 ガララッ 「うおっしゃーっす」 「おはようございますっと」 今日の職員室は、職員より生徒の方が多く出入りしている。 全校生徒が出席を取るためと言う事もあるが、職員に宣伝している生徒もチラホラといるようだ。 そのような理由もあってか、いつもはガランとしている職員室も、今日ばかりは騒がしい。 「出席確認はあそこか…人ごみの核だな」 「ははは。蹴散らしたくなる程の人ごみだな」 二人で黒い笑みを浮かべながら、黒い山の塊を見る。 こんな時こそ、あいつの出番。 時間も丁度いい頃合だ。 「3…2…1…」 ガラララッ!! 俊二のカウントが終わったと同時に、また生徒が一人職員室に入ってきた。 生徒の群れの一人が、入ってきたその生徒見るやいなや、周りの生徒に声をかける。 その会話の内容が群れ全体に渡り、アレほどざわめいた群れが一瞬にして静まり返る。 「おう山崎、早かったな」 「…ザコだ、あんなもん」 入ってくるなり無愛想な返事をし、山やんは生徒の群れにズンズンと突き進んで行く。 山やんの通り道は、生徒達が彼を避けるためいつも開いている。 僕らは、その後ろについて行けばそのまま直通で出席を取る事ができる。 山やんのすぐ後ろを歩けるような奴は、学校広しといえども一部の人間だけだ。 こうして、コバンザメのような手口で、僕らは苦労もせずに出席を取ることができた。 「…さってと。出席も取ったし、さっさと教室にでも行っておくか」 「そうだな…、咲も待ってるだろ」 騒がしい職員室を出て、メリーの座っているベンチに向かう。 「あれ?メリーいないじゃん」 「ぬ…?こんな時にいなくなるとはな…迷子にでもなられたら厄介だぞ」 確かにこの祭り騒ぎじゃ、はぐれたらすぐには見つけられないだろう。 …だが、その心配はいらなかったようだ。 職員出入り口から外へ出たすぐ近くの屋台で、メリーはお好み焼きをジーっと見つめていた。 「…もしかしてお前朝飯食ってきてないとか?」 お好み焼きを見つめて、よだれでも垂らしそうなメリーに近づき、問う。 もし今朝、浅い眠りから起きてすぐに風呂に直行してるのなら、メリーは朝食という朝食は取っていない。 仕度して、玉子焼きを2.3個口に放り込んで、すぐに僕たちと一緒に出てきたのだから。 「う…そ、そんなこと無いわよ?」 と言いながら、彼女の視線はいまだにお好み焼きに行っている。 「…ったく」 300円か…。 僕はズボンのポケットから小銭を探った。 「一個くれ」 「はいよ、300円になりまっす」 「ん」 ポケットから300円を出し、会計担当の学生に渡す。 「はい、毎度あり。あちちちち」 調理担当の学生が、出来立ての好み焼きを無造作にパックに詰め込み、僕のほうに差し出す。 「ん、…あちちち」 その渡されたお好み焼きを、そのままメリーに渡す。 メリーはきょとんとした様子で、差し出されたお好み焼きを見ていた。 「早く持ってくれ、熱いんだよこれ」 「え?あ、…うん」 慌てて僕からお好み焼きを受け取る。 だが、彼女が持った場所は、最も触れてはいけない場所だった。 「熱ッ…!!」 メリーはパックの底面を持った。 そのせいで受け取った瞬間、その熱さに驚いてそのパックを放してしまった。 「ッ―――バカ!!」 放されたパックは、万有引力の法則に忠実に真っ逆さまに落ちる。 「――――あ!!」 地面に落ちるスレスレの高さで、お好み焼きはその価値を落とさずに済んだ。 「熱い…」 時々自分の反射神経には驚かされる物がある。 火傷になるかならないかの温度が僕の右手に当てられている。 「…ほら、今度は横側を持て」 呆然としているメリーに再度お好み焼きを渡す。 逆さまになってパックの中身がシェイクされたが、お好み焼きだから大丈夫だろう。 「ご…ごめんね。隆一…」 両手でパックを受け取ったメリーが、謝ってくる。 「あー…、こういう時に言う言葉は『ありがとう』だろ?」 照れくさくなって、メリーから目を背けて頭をかく。 「…………」 「…………?」 反応が無いのに気づき、後ろを向こうとした瞬間。 ドガッ!! 「ゴハッ!?」 いきなり脇腹に凄まじい衝撃が襲いかかった。 「な…何を…」 痛む脇腹を押さえ、メリーの方を向く。 見たところ棒では殴らなかったようだ。 両手はお好み焼きを持っていて塞がっている。 …ということは。 「蹴ったな…いててて…」 目の前でお好み焼きを持って仁王立ちしている人物の顔を見る。 相当ご立腹でいらっしゃる。 …何で? 「何か悪い事したかな…僕…」 「ふむ、あれにカラシをかけられたのが気に食わなかったのであろう」 いつの間にか帰ってきた俊二が腕を貸してくれる。 「いでででで…何でこんな目に…」 痛みを和らげるためにと横っ腹を摩っていると、 意外と早く痛みが引き、何とか背中を伸ばすのも平気になるほど回復した。 「そろそろ行かないと、前の班からブーイングの嵐だな…」 懐から懐中時計を取り出し、俊二がつぶやく。 「もうそんな時間か…メリーはどこ行った?」 また行方不明にでもなられたら、完全に時間に間に合わなくな……。 …………… メリーは何事も無かったかのように、既に近くのベンチでお 好み焼きをパクパクと口の中に運んでいた。 ―――――――― 「さて、メリーや」 「ん?」 チョコバナナを売っている教室の前で、メリーにこれだけは伝えておく。 「いいか?ここは学校だ。Schoolだ」 「まぁ、…そうね」 「ここでは、騒動を起こさないようにしてくれ。頼むから」 「…何で?」 「とりあえず、鉄の棒で人を叩きのめしたり、脇腹を思いっきり蹴るようなことはしないでくれ」 「そ…そこまでしないわよ!!」 いや、やってたろ と、心でツッコミをいれる。 「とにかく、目立った行動は取らない事。僕が変な目で見られるから」 既に蹴りの事で話題が立ち始めている。 そもそも目立つ容姿をしているメリーが、学校に訪れた時点で噂になるだろう。 「…わかったわよ。で、これからどうするの?」 「ここに入る」 親指で、後ろの教室を指す。 「チョコバナナ?」 「そう、僕達の本陣だ」 「ここで学校を(売り上げで)制覇する」 「へー…」 「と言う事で、中に入ろうか」 ガラララララ… 「おはよーさん」 「おお、迷える子羊達よ。この俺様が来たからにはもう大丈夫だ!!」 「……………」 僕と俊二の後ろについて、こそこそとメリーも入ってくる。 「あ、おはよー」 「おーっす」 「おう、おはよう」 「やっほー」 僕らの前の班は、新しくチョコを溶かす作業に入った所だった。 「おー、今までどれだけ売れた?」 売り子をしている(といっても、今は客は来ていないが)咲に聞く。 「えーっと、大体30本くらいかな?」 「すくねぇな…」 「そうかな?開店から1時間ちょっとなら多い方だと思うよ?」 「そういうものか…」 咲(さき)はこのクラスで『委員長補佐』を勤めている女子生徒だ。 勤めていると言っても、普通のクラスにはそんな役割はない。 この極悪委員長が、時々とんでもない事を仕出かすのを止めるための『補佐』 つまりお目付け役だ。 彼女自身補佐として立候補しており、それなりにこの役割を楽しんでいるようだ。 「ところでー…後ろの女の子って、お客さん?」 咲が、僕と俊二の後ろに隠れていたメリーを見る。 「……………わ、私は…」 「こいつはメリー。僕の連れだ」 「……こんにちは」 「ちと照れ屋なもんでな。よろしく頼むぞ皆の衆」 「…う、うるさい!!け、警戒してるのよ…!!」 …小動物? 「あはははは!!この子かわいー!!」 「ほんとだー!!フリフリドレスー!!」 咲と、一緒にいた女子がメリーに襲い掛かる。 「可愛いって、僕達とそんなに歳は変わらないんじゃないのか…?」 「女の子にはそういうのは関係ないのよ」 「んぁー!!放せー!!」 メリーは二人の抱擁から逃げ出そうと必死になっている。 「で、俺たちは何をすればいい?」 「そうねぇ…。とりあえず、チョコが焦げないように溶かしてくれる?」 じたばたしているメリーをガッシリと捕まえながら、指示をくれる。 「わかった。僕がやろう」 僕か俊二。どちらかが料理関係の手伝いをする事になると、必ず僕がやるようにしている。 「ふむ。俺はバナナの皮剥きか?」 「ううん。俊ちゃんは客の呼び込みしてくれる?」 「ぬ…。そうか任せておけ」 そういうと、俊二はさっさと教室から出て行ってしまった。 「流石に扱いが上手いんだな」 「バナナやチョコにいらない事されたら困るもん」 そのために調理に直接関係無いことをさせたらしい。 「僕はこのままチョコをかき回せておけばOKなんだな?」 「うん。私達はその間に校内を回ってくるから、よろしくね」 「あぁ、後は俺らに任せておけ」 ガタン!! 「!!?」 全員一斉にその声の主から飛び退いた。 「お前いつの間に戻ってきた!?」 いつの間にか俊二が教室の中に戻ってきていた。 ヤツは肩の埃を叩きながら、不適な笑みを浮かべている。 「地獄の底から這い上がってきてやったぞ」 「今普通に窓から入ってきてたじゃん」 男子学生Aが鋭くツッコむ。 ピクッ… あ、俊二の動きが止まった。 埃を叩いているポーズで、まるで一時停止したかのように、動きが停止してしまった。 「…さ、さて俺は何をすればいいのかね?」 少しシドロモドロになりながら、いつもの調子に戻る。 「それじゃあさ、咲。俊二君に売り子やってもらおうよ?」 「えー…。大丈夫かな…」 「放してー…」 ぬいぐるみのように抱擁されているメリーは、既に諦めモードだ。 その気になれば振り払えるだろうが、さっきの約束を守っているのだろう。 「俺の接客スマイルを甘く見るなよ。国宝級の笑顔だぞ」 「お前の笑顔を国宝にするとは、相当価値観の狂った国なんだな」 「何を!?そういうことは俺のスマイルを見てから言え!!」 「いいだろう。拝見させてもらおうか?地獄の接客スマイルを」 僕と俊二が対峙する。 前の班の生徒達が、固唾を飲んでその様子を見ている。 「ふ…あの世で後悔させてやる…」 命を危険に晒す技なのか。 「行くぞ!!」 「!!」 俊二は長くもない自分の前髪を、わざわざかきあげ、 キザに、優雅に、そして爽やかに微笑んで魅せた。 「フッ…」 もともと俊二の容姿は、それなりの保障ができる。 特別美形というわけではないが、明らかに一般的なレベルを上回っているのは確かだ。 「…どうですかな、女性審査員の方々」 僕は何とも言えないので、後ろの三人に決めてもらう。 「うん、全然平気だよ!!」 「流石は俊二君ね!!決まってるよ」 「放してぇ…」 どうやら決まりのようだ。 ―――――――――――― 「と言うわけで、よろしくね」 「あぁ。なるべく早く帰って来いよ」 「私も心配だから、気が済んだら戻るよ」 やはり、俊二は信用されない運命らしい。 ジー… 「あ、メリー…」 その視線に気づき、肝心な事を思い出す。 咲達からの抱擁からは解放されたのはいいが、僕らはここで店番だ。 メリーは露天を見て回りたいらしいが、僕もここを離れられないし、 一人で行かせるのは危険だ…(いろんな意味で) どうするか迷っている僕を尻目に、咲が口を開いた。 「ねぇ、メリー。私と一緒に学校を回らない?」 「………え?」 おぉ、いいアイデアだ。 一人で歩き回ってそこらの男に手でも出されたら、かわいそうだ。(反撃にあう男が) その分女の子同士、咲なら信頼できる。 「うん、それがいいな」 「確かに…勝手が分らない混雑した場所での単独行動は、色々ややこしい事になりかねないぞ」 「ね?みんなも言ってる事だし、一緒に行こう?」 そう言って、手を差し出す。 メリーは戸惑いながら、僕のほうを見た。 「どうするかはメリーが決めるといいよ」 もう一度、メリーは差し出された手を見る。 そして、その手の持ち主を見る。 ――――――――――― 彼女は、温かい笑顔の持ち主だった。 大丈夫。 隆一が信頼している人だ。 この人となら、安心して学校を歩き回れる。 それに、この人の笑顔には優しさがこもっている。 私はその手を握り返した。 「よろしく…えっと、咲…だっけ?」 「うん。とことん楽しもうね?メリーちゃん」 「よろしくね。咲」 「楽しんで来いよー」 「気をつけてなー」 教室を出る間際、隆一と俊二が見送ってくれた。 …もしかして子供扱いされてるのかな…。 「心配してるのよ、二人とも」 咲が私の気持ちを察してくれたのか、フォローを入れてくれた。 「…ちょっと納得いかないかも」 「ねぇ、まずはどこに行くの?」 どこに何があるか分らない私は、とにかく咲について歩くくらいしか出来ない。 「うーん…どうしよっか?」 「き…聞かないでよ…」 「じゃあ、まずパンフレット貰いにいこっか?」 「パンフレット?」 パンフレットって…なんだろ。 「そ、学校全体の地図とか、出し物が載ってるからメリーちゃんにも役立つと思うよ?」 「へー…」 「職員室に行けば貰えると思うから、行ってみよう」 「うん」 さっきも来た職員室の前。 咲は入ったっきり戻って来ない…。 「遅い…」 ……私も入ろうかな。 「おい見ろよ、あの女の子…」 「ねぇねぇ、あれってコスプレじゃない?」 「お人形さんみたいで、かわい~!!」 「どこのクラスの女子かな?」 …うるさいなぁ。 咲早く帰ってきてくれないかな…。 「なぁ、お前名前聞いてこいよ!!」 「何でだよ、お前行ってこいよ」 「………やっぱり入ろう」(関係者以外立ち入り禁止) ガラララララ… 「うわ、何この人だかり…」 職員室は、廊下の生徒たちの数にも劣らないほど、生徒で溢れかえっていた。 これだけいると咲を見つけるのも大変かな―――…? 「………何あれ」 誰にとも無く、つぶやく。 職員室の端の通路を塔のような物が、よたよたと危なっかしくこちらに歩いて来る。 グラグラとゆれる塔――じゃない。何十にも詰まれた薄い本の影から、時折見える顔…。 ――あぁッ!!つまずいた!! 「危ない!!」 「わ!?――とっとっと…おおおお!?」 転倒は避けたものの、天高く積み上げた本が、前につんのめって今にも崩れそう。 「―――っく!!」 私は素早い身のこなしで咲に近づき、文字通り体全体で本の崩壊を受け止めた。 「…あ、ありがとう。メリーちゃん」 「は…早く…姿勢戻して…」 「え?」 受け止めたのはいいものの、本の天辺を押さえるためには背伸びしないと届かない高さ。 爪先立ちしてる足がピクピクしてたりなんかして。 「よいしょっ…と」 「ん…く……はぁ…」 私と咲は、その体勢のまま近くの机に本を下ろす事にした。 「何でこんなにいっぱい貰ってきたの?二冊で十分でしょ」 当たり前なことを聞く私に対し――。 「各クラスの委員長がこれ配る事になってたの忘れちゃってて…ね?」 テヘヘと軽く申し訳なさそうに謝る咲。 「にしても、凄い量ね…」 裕に1mはある本の塔。 これを一人で持って行こうなんて、無茶が過ぎると思う。 「配ればすぐなくなるよ」 「配ってたら時間なくなっちゃうよ?」 咲は、あくまでもこの本を配るつもりらしい。 仕方ないなぁ…。 「それじゃあ、私も持ってあげるよ」 「え!?それは悪いよー…」 「私には、一緒に回ろうって約束したのに、パンフ配りで約束破られる方が、気に障るのだけど…」 「あ…」 「一緒にパンフ配ればその分早くなるでしょ?」 「…じゃあ、お願いできる?」 「別に、咲のためじゃないわよ。私を案内してくれる人がいなくなるから手伝ってあげるだけ。勘違いしないでね」 「あぅ…ゴメンね…」 「え!?…あ、その…、いいのよ。私が勝手にやってる事なんだから…」 「…?」 「とにかく、さっさと片付けちゃいましょ」 「う…うん」 私は咲のパンフの半分を持って、校門に向かった。 校門で渡すのが一番早いそうだ。 「それじゃあ、ここで配りましょうか」 「わ…分ったわ」 迂闊だった。 よく考えたら、配るって人間に渡すって事じゃないの…。 …どうすれば――――― 「どうぞー、本校のMAPと出し物が載っているパンフをお配りしていまーす」 咲は来る人々に積極的に渡していた。その顔には笑顔すら浮かんでいる。 …あれを私がやるの? どうしよう…絶対無理だよ…。 「ねぇ、咲…私渡せないよ…」 手早くパンフを配っている咲にボソボソと話しかける。 「え?…あぁ、これは私なりのやり方なの。メリーちゃんは普通に渡せばいいよ」 「普通にって…」 「普段の表情、普段のやり方で渡してみて?あ、はーいパンフレットどうぞー」 中途半端なアドバイスをして、咲は行ってしまった。 普段の表情…?やり方? …よし、やってみる!! 私は、震えた右足を前に出し、一歩を踏み出した。 踏み出してしまえば、たいしたことは無い。 そう――――簡単なことだった。 ツカツカツカ… 「それでさー、あっちの校舎の中に―――」 トントン 「クレープ…って、ん?」 「はい、パンフレット…」 「え?あ…あぁ、ありがとう」 「………………」 ツカツカツカツカ… これが一連の動作 別に愛想を振りまかなくても渡せばいい。 スムーズに、円滑に。 さっさと全部配ってしまおう。 あの人は…持ってない。 …よし。 ツカツカツカツカ… 「ねぇ、まずどこ行こうか?ってあら?」 「…ん、パンフ」 「あ、ありがとう」 「それじゃ…」 「…?」 ツカツカツカツカ… ツカツカツカツカ… 「はい…」 ツカツカツカツカツカ… 「ん…」 ツカツカツカ… 「パンフ…」 ツカツカツカツカツカ… ――――――――――――――― 「あ゛ー…づーがーれ゛ーだー…」 「…大丈夫?咲」 あれから30分かけてパンフ配りを終わらせることができた。 咲が動きつかれたから休憩しようと言うので、フラフラの咲を連れて食堂まで行く事にした。 「なんだか最後の方、向こうからパンフを貰いに来てたんだけど…何でかな?」 「私が配ってる時『向こうで人形みたいな子がパンフ配ってるよ』って聞こえて…それから渡す人が急に減って…あうー…」 …私のせいだったようだ。 ゴメンね咲…。 「何か飲み物貰ってくるね?」 「うん…お願い…」 疲労困憊の咲をその場に残して、私は食堂のカウンターに飲み物を貰いに行く事にした。 『カウンター 食券はこちらでお求めください』 どうやらここらしい。カウンターの中には誰も居ない。 呼んでみよう。 「あの、すいませーん」 「はいはい、いらっしゃい―――あら?あなたは…」 「?」 しばらく待つと、人の良さそうなおばちゃんが中から出てきた。 「私が…どうかしました?」 「『お人形みたいな、かわいい子が学校に来てる』って噂になってるけど、あなたね?」 噂…になってるんだ…。 隆一の言う『普段着』を着てくればよかったかな…。 「さ…さぁ…。どうでしょう?」 「いいのよ、謙遜しないで。それで、今日は何を買いに来たの?」 おばちゃんに聞かれ、私は先に飲み物を持ってくることを思い出した。 「咲の飲み物を買いに来たんです」 「咲って、あの頑張り屋の咲ちゃん?」 「あ、それ多分当たりです」 「それじゃあ今日はタダでいいわよ」 「え?」 私が頭の上に『?』を出していると、おばちゃんはニッコリしながらその意味を教えてくれた。 「『各学年で最も優秀な成績を収めたクラスの委員長は、その特典として学園祭では無償で各出し物を遊ぶ事が許される』―――――ってルールがあってね?」 「うんうん」 「それで、今あの子のクラスが最優秀を取ったって伝達があったの」 「へー…いいなぁ…。でも何で今なの?」 「なんでもサプライズイベントだとか…。そのほうが各委員長の士気が上がるからじゃないかしら?」 「咲に言ったら喜ぶだろうなー」 「そうね。はい、ジュース。咲ちゃんは『補佐』でも委員長だから、特典は適用されてるわよ」 いつの間にか用意されたジュース入りの紙カップ2つが手渡される。 「あれ、何で2つも?」 「もう一つは、メリーあなたの分よ」 「本当?ありがとう!それじゃ、おばちゃんまたね」 「はいね。思いっきり遊んでらっしゃい」 「うん。ばいばーい!!」 私は紙カップを両手に持ち、咲のいるテーブルに向かった。 「ねぇねぇ、知ってる?今回の弓道部は面白いのやってるらしいよ?」 「へー、あとで行ってみようよ」 「じゃあさ、先にチョコバナナ食べに行こうよ」 「さんせーい!」 「じゃあ行こう!」 ここの生徒かな?みんな楽しそう…。 私も早く咲と遊びに行こうっと。 …?何か物足りないけど…。ま、いいかな。 「咲ー。ジュース貰ってきたよー」 「あー…ありがとー…」 咲に紙カップを一つ手渡して、私は向かいのイスに腰掛ける。 「学食のおばちゃんに聞いたんだけど、咲のクラスの委員長が最優秀だったんだって」 「あーそー…よかったね――――――…え?」 「何か出し物がタダになるんだって。いいなー…咲は―――」 「ぃやったああああああああああああああああああッ!!」 「きゃあ!!」 今まで生ける屍状態だった咲が、急に叫びだした。 私はもちろん、周りの人まで驚いたり固まっていたり、騒然としていた。 「ちょっと、咲…恥ずかしいよ!!」 慌てて私が咲を静める。 「あ…ご、ごめん。でもそれって本当?」 「うん、間違いないよ。このジュースだってその特典ってやつで、タダで貰ったのよ」 「よかったー!!今日お財布がピンチで、出し物をどうやって回るか悩んでた所だったの」 「あ、出し物といえば、キュウドウブって所が面白いって聞いたけど。行って見ない?」 「弓道部?…何やってるんだっけな…。よし、これ飲んだら行ってみようよ」 「意義なし。今日はとことん回ろう、咲!!」 私と咲は急いでジュースを飲み干し、生徒達がはびこる廊下に歩いていった。 ――――――――――――――― 「ここ?」 「そう、ここ」 私と咲は、校舎から離れた木造の小屋の前に立っている。 重々しい引き戸の上には【弓道部】と書かれた威厳のある看板が掛けられていた。 「待ってる人いなくない?」 「多分中で待ってるんだよ」 言いながら引き戸を開けて中に入っていく咲。 私もその後について中に入っていく。 「ごめんくださーい」 「はーい、いらっしゃーい」 中に入るなり、一人の女子生徒が迎えに来た。 周りを見る。 案の定。部室の中には殆ど生徒がおらず、部員がのびのびとくつろいでいる有様だ。 「…営業中…だよね?」 「はい、絶賛営業中であります!!」 意味もなく敬礼を取る女子生徒。 「…誰もいないじゃない」 「あいたたた…一番気にしている事を…」 私のツッコミに対して、今度は胸を押さえるジェスチャーをしながら、乾いた声で笑う。 「まー、しょうがないんじゃないか?大体企画に無理があったんだろ?」 奥でくつろいでる男子生徒が、それとなく言う。 その言葉にカチンと来たのか、彼女はその男子生徒に言い返した。 「それじゃあ、アンタ外で客呼びしてきなさいよ!!」 「やなこった、めんどくせぇ」 「あんた、一応部員なんだから何かしようとは思わないの!?」 「あーあ…また始まった…。ごめんなさいね」 痴話喧嘩になってしまった二人を見て、他の女子部員が出てきた。 「あ、いいんです。何か色々大変ですね…」 「元はと言えば、あの二人のケンカも原因でお客が来なくなっちゃったのよね」 あ、わかるかも…(見てて邪魔だし) 「それで、どうするの、一回やってみる?」 「あ、はい。えっと、最優秀委員長って話は聞いてます?」 「もちろん聞いてるわよ、そっちの女の子もタダね?」 私の事らしい。 「ありがとうございます」 咲はペコリと頭を下げた。 「あ、ありがとう」 私もつられて、軽くお辞儀をする 「いいのよ、それじゃあこっちに来て」 私と咲は、その人についていった。 「はい。それじゃこれ持って」 女子部員は私達に弓を手渡した。 「…これって、弓だよね?」 「そう。弓」 「それで何をするのよ…」 「あの的を射ってもらいます」 女子部員の指をさした先には、的がかけられていた。 「私達初心者なんだけど…」 「ガッツでカバーしてください。はい、アナタの分」 「…客が来ないわけが分った気がする」 弓を持つ。 意外と軽く出来ているソレは、作りこそ荒いものの、あの的を射るには十分な物だ。(と思う) 「いい案だとは思ったんだけどねぇ…」 「で、アレを射るだけなの?」 「いえ、ここでは占いも兼ねてるんです」 「…占いって、どういうこと?」 咲が弓をまじまじと見ている。 「的に外れたら、大凶です」 笑顔で恐ろしい事を言う女子部員 「あ、当たれば今日一日良い日になるので頑張ってくださいね?」 …隣の咲の口から、「来なきゃ良かった…」という言葉が漏れたのはそのすぐ後だった…。 ―――――――――――――――― キリキリキリ…ヒュン!! タンッ!! 「おー。すごいねー」 私と咲は、まずやり方を見せてもらう事になった。 部員だけあって、放たれた矢は上手く的に命中した。 「大体の形はこんなもん。ま、あとはがんばってね」 「え、それだけ?」 「いろいろ説明すると長くなっちゃうからね。じゃあ先に委員長さんがやってみようか?」 投げやり部員にポーズだけは教えられた咲が、射ることに決められた。 「いや、私は補佐であって――――――え?え?え?」 説明している間に、立ち位置まで連れて行かれる。 「うぅ…やるしかないか…。行きます!!」 震える左手で弓を構え、震える右手で矢を持ち。 はるか遠くに見えるであろう的(実際には10m程)に向かって、矢を放つ!! 咲の矢は勢いはあったものの、的の方向には飛ばず、大きく左にそれて壁に刺さってしまった。 「はい、残念でした。大凶」 「うわーーーん!!」 「じゃあ次は、そっちの女の子。やってみて」 「はい…」 今度は私の番らしい。 私はさっき咲が立っていた場所に立ち、弓を構えた。 弓―――… ――――――――私の命を奪った道具を―――――――― ――――今私が持っている―――― 「…ッ!!」 すぐ近くの的を見たとき、ズキッと、頭痛が走った。 さっきから嫌な予感がしていた。 万が一、自分が弓矢を持つ事になってしまったら…。 さっきから自分が分らなくなっていた。 なぜ、自分を殺した道具をわざわざ見に行こうと思ったのか…。 そして今、私は弓矢を持って、それを構えている。 狙いは『的』 『私』じゃない。 でも、私を射った人間は、私を『的』として、射った。 『的』は『私』じゃない。 『私』は『的』じゃない。 止めて…。もう…思い出したくない…。 キリキリキリキリ…!! 『私』は『的』じゃない…。 狙わないで…。射らないで…。 「―クッ!?」 頭が…痛い…!! 突然の頭痛に、私は思わず矢を押さえてた指の力を緩めてしまった。 そして、矢は抑制力から開放され、弦の力で放たれる。 ヒュン!! ストン!! 「――――あ…」 私の射った矢は真っ直ぐに飛び、見事に的の真ん中に刺さった。 「大当たりー!!おめでとうございまーす!!今日一日はいい事ありますよー」 「今…私…」 なんだろう…、今の頭痛は…。 あれほど痛かった頭痛は、今ではすっかり収まっている。 「メリーちゃんおめでとー!!」 咲がボーッとしてた私に、横からガバッと飛びつく。 「やったじゃない、本当に初めてやったの?」 「え…う、うん」 「いやー、いい腕してるわねー。どう?弓道部に入らない?」 的の真ん中に刺さった矢を見て、彼女は私を気に入ったようだ。 でも、私は…。 「嫌です…」 弓矢を持つなんて二度とゴメンだ…。 今の私なりの、精一杯の否定だった。 「あら、そう?勿体無い…」 「さりげなくスカウトするのは止めてください。まったく…」 「そうでもしないと、廃部になっちゃうのよねぇ…はぁ~」 女子部員は方をガクンと垂らし、深いため息をついた。 「それじゃ、私達はおいとましますね。出し物頑張って下さい」 「………それでは」 「はいはーい、文化祭楽しみなさいねー」 私と咲は、弓道部から出て、次の目的地を決めることにした。 「次はどこに行こうかしら…」 「…………」 「あれ?メリーちゃん、どうしたの?」 「え?あ、うん。なんでもないよ?」 「そう?ならいいけど…」 さっきの事は、今は忘れよう。 楽しいはずの文化祭だし。思いっきり楽しもう。 そう自分に言い聞かせ、私は咲の広げたパンフレットを覗きながら、次の目的地を決めることにした。 メリーの居る生活 六日目(2)に続く
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/48895.html
【登録タグ 曖昧さ回避】 曖昧さ回避のためのページ ハチの曲メリー/ハチ TentaQleの曲メリー/TentaQle thusの曲メリー/thus 曖昧さ回避について 曖昧さ回避は、同名のページが複数存在してしまう場合にのみ行います。同名のページは同時に存在できないため、当該名は「曖昧さ回避」という入口にして個々のページはページ名を少し変えて両立させることになります。 【既存のページ】は「ページ名の変更」で移動してください。曖昧さ回避を【既存のページ】に上書きするのはやめてください。「〇〇」という曲のページを「〇〇/作り手」等に移動する場合にコピペはしないでください。 曖昧さ回避作成時は「曖昧さ回避の追加の仕方」を参照してください。 曖昧さ回避依頼はこちら→修正依頼/曖昧さ回避追加依頼
https://w.atwiki.jp/chaosdrama/pages/1934.html
《メリー()/Merry》 アイコン ゲスト 年齢 20 性別 女 種族 ? 身長 143cm 「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」 ※都市伝説のアレ。 髪色はピンク。成人したっぽい。 低身長で人形のような端正な童顔をしているため、よく小学生に間違えられては怒る。ロリ巨乳。 過去の王道ツンデレキャラはどこへやら、相当口が悪い。 電話をかけては意気揚々と人を殺しに行っている。が、上手くいかず一度も人を殺せたことがない。逆に振りまわされる。(一向に振り向いてくれないなどなど) で、結局諦めたりする。 ターゲットにされた人物(メリーへの加害者)の情報によると、憑かれて間もない頃はゴスロリ調のドレスを着用するが、 だれてくると緑単色で二つの漢字が胸元にプリントされた芋ジャージの格好になるそうだ。(プリントされている漢字は毎回変わる) というかむしろ芋ジャージがデフォ。 凄惨な過去を持っていたが色々克服。今日も元気ー↑↑
https://w.atwiki.jp/foresanc/pages/2393.html
メリー 【種族】 人間 【性別】 女性 【属性】 空 【所属】 とある殺し屋組合 概要 賊業に加担する女性。 その容姿はぱっと見では賊には見えず、燃えるような赤い髪を縦ロールのお嬢様風にしている。 服装も御伽噺に出てくるようなふわふわのファンシーなドレスに身を包んでいる。 日傘を手にしており、日傘でふわふわと空中を滑空することも可能。 性格も妙に沈着であるが幼く、無邪気かつ残忍な子供のような性格。 しかしその正体は残虐趣向を持つとある殺し屋組合に属する殺し屋崩れ。メリーという名も偽名である。 表向きには組合に従いつつその裏で個人的に賊に加担し悪行を働くという知るぞ人知る狡猾な悪党。 ファンシーなドレスの中には無数のナイフを隠し、手にした日傘には機関銃が仕込まれ自爆用の危険物まで所持している。 性格もキャラ作りであるようで本来はガサツで粗暴でとても愛らしい少女には見えない凶悪な性格をしている。 先日行われた山地討伐にてディプス、テレサらに倒された。 主な技・魔法 「残虐のワルツ」 スカートの中に仕込んだ刃で回転するように相手を切り刻む。 「冥界のファンファーレ」 日傘に仕込んだ機関銃掃射による不意打ち攻撃。 その他様々な技や武装を使用する。 ちなみに 1 当初はロリババアの予定だった悪い殺し屋さん。途中で猫かぶり系に変更したけど面白いキャラになったとおもう。 スカイプでFEifのシャーロッテとかダンガンロンパのセレスの名前が出てたけど多分影響受けてる。あと忍殺3部の某12人のあの人とか。 2 名前の由来はなんかファンシーっぽい女の子の名前をチョイス。メアリー(ibの影響)とどっちがいいか悩んだキャラ。 ちなみに上にもありますがメリーは偽名です。 3 メリーの所業はさほど大きな話題にもなることなく、賊に加担しているというのも知るぞ人知るマイナーな情報である。 同業者のミュルグレスが彼女を見ても反応しなかった理由は彼が裏社会の人間であることやこれらの事情に精通している人物であることを伏せるため。 登録タグ ナイフ屋 仕込み銃 傘 悪党 殺し屋 猫かぶり 短剣